宇宙産業の現状と宇宙ビジネス指針

2018年6月に『宇宙ビジネス超入門~今、注目される宇宙ビジネス~』の講演を取材したご縁があり、興味深いテーマでもありましたので、今回のセミナーに参加しました。

講師の髙山久信氏は、宇宙ビジネスコーディネーターとして定評があり、宇宙ビジネス業界の第一人者と言えます。現在、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構の戦略企画室長兼宇宙産業本部副本部長です。
セミナーは、下記の4つの視点から説明されました。

① 宇宙開発利用と宇宙産業の整理
② 宇宙ビジネスに何が起こっているのか
③ 第4次産業革命と宇宙産業/衛星データ
④ 政府・関連機関の主な宇宙関連支援策

① 宇宙開発利用と宇宙産業の整理
軌道投入(宇宙輸送システム)⇒観測,地球に送る(宇宙システム)⇒運用管制,サービス提供(地上システム)の流れがある。目的に合わせて宇宙輸送システムと宇宙システムを組み合わせる必要があり、成果として状態と変化を観るデータを得る。(例 ロケット地上発射×衛星測位衛星×衛星測位データ)

② 宇宙ビジネスに何が起こっているのか
2008年の宇宙基本法により、従来の「通信」,「放送」,「気象」に加えて、データ利用としての「地球観測」,「衛星測位」の利用が推進。近年、衛星から得られるデータの質と量が大幅に向上するとともに、AI等の解析技術が進展することで、新たな宇宙産業の可能性が広がりつつある。

③ 第4次産業革命と宇宙産業/衛星データ
21世紀はAI,ビッグデータの第4次産業革命。内閣府の宇宙産業ビジョン2030では、2030年代に宇宙産業全体規模の倍増(1.2兆円⇒2.4兆円)を掲げている。衛星データ利用ビジネスの事例は、世界の石油備蓄量データを投資に活用したり、駐車場の混雑情報を小売業績予測に活用しているアメリカのOrbital Insight社の最先端事例なども紹介。

④ 政府・関連機関の主な宇宙関連支援策
主な支援策として、異業種交流の場やセミナー等を通じたネットワーキング活動のS-NET,宇宙ビジネスアイデアコンテストのS-Booster,宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォームのS-Matchingなどがある。また、日本初の衛星データプラットフォームTellus(テルース)の開発も進めている。

まとめ
宇宙輸送システム、宇宙システムの低価格化、ビッグデータ解析技術の高度化やクラウド化などの技術革新によって、人工衛星を活用する新たなサービスの拡大が見込まれている。