宇宙ビジネス促進セミナー

2019年2月28日に愛知県主催の宇宙ビジネス促進セミナーが開催されました。愛知県企業の宇宙産業への事業展開を促進するため、現在の宇宙産業の動向や今後の展開等の情報提供することを目的としたセミナーです。講演は、宇宙ビジネスに関わる一般財団法人,大学教授,民間企業の方々がそれぞれの視点から話されました。

■一般財団法人

一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構の持田則彦氏は「今、注目される宇宙ビジネス~自社保有技術を生かすには~」の中で、①宇宙ビジネスの動向②宇宙ビジネスコート概要③主な活動実績・事例④リモートセンシング事例⑤新しいデータ利用方法の5つの内容を説明されました。
「現在、世界の宇宙市場は約40兆円。これから5年で80兆円規模になることが予想されている。」「北海道,茨城県,福井県,山口県は宇宙ビジネス創出推進自治体で県でも宇宙ビジネスの予算を持っている。」「ヴァージン・ギャラクティック社のような宇宙旅行なら、航空機の延長なので日本のどこの空港からでも宇宙旅行が出来る。」「3Dプリンタの実力は、無重力空間でも生産可能になっている。」「宇宙分野にまだスマートホンが誕生していないので、優秀なプロデューサー兼エンジニアが求められている。」などの最新の情報や見解も伝え、最後にTellus(政府衛星オープン&フリーデータプラットフォーム)とRESAS(地域経済分析システム)をフル活用して魅力ある地域活性化を実現することを提案されました。
 

■大学教授

名古屋大学教授の田島宏康氏は「超小型衛星による宇宙の民間利用」の中で、主に民間の宇宙利用拡大における課題と超小型衛星の利用拡大に向けた取り組みを話されました。「民間の宇宙利用拡大において、高額な開発・打ち上げ費用と民間の宇宙利用を拡大出来る人材の不足といった2つの参入障壁があります。」「衛星費用を百分の一以下にすることを目標としていて、名古屋大学,大同大学,中部地区の航空宇宙産業界が共同で超小型衛星の中部サットを開発しました。」「名古屋大学における宇宙人材育成の取り組みは、博士人材養成のフロンティア宇宙開拓リーダー養成プログラムだけでなく、超小型衛星利用に関する実践的な短期集中(2・4週間)の民間における宇宙利用基礎コースもあります。」短期集中コースでも、衛星で何が出来るかが良く分かり、利用者の立場から民間宇宙利用の潜在的ニーズを掘り起こせる人材育成に貢献しているようです。

■民間企業

アイサンテクノロジー株式会社の細井幹広氏は「準天頂衛星と自動走行」の中で、衛星測位と準天頂衛星,自動走行の実証実験,準天頂衛星と自動走行の順に詳説されました。「衛星測位はGPSだけでなく、複数の国、機関が整備を進めている。マルチGNSSにより、可用性、測位性能が向上している。」「日本の測位衛星システム、準天頂衛星みちびきにはいくつかの特徴がある。1.日本天頂付近に長くとどまる衛星軌道を採用することで、可用性が向上する。2.測位補強信号を配信することで、測位精度が向上する。3.災害時に情報配信、情報収集する機能が搭載されている。これらの機能を活かすために、様々な分野で実証実験が行われてきた。」「現在の自動走行の実証実験では、衛星測位を積極的には利用していない。しかし、ロケーター機能として注視されており調査は進められている。」「自動走行に必要な高精度3次元地図の作成には衛星測位は必須となっている。また、高精度3次元地図は、自動走行以外への様々な活用が検討されている。」といった概要で、最後に「高精度な衛星測位利用のために、日本では地図との位置ズレが課題となっている。地殻変動がその大きな要因であり、GEONET(電子基準点網)を利用し補正をする必要がある。」と課題解決への対処法を述べられました。

■まとめ

愛知県は主要産業製造品出荷額の自動車,航空宇宙産業,生産用機械で日本1位となっております。アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区の推進をしていくようですので、Space Bizとしても目が離せません。