宇宙エンタメコンテスト~川柳と俳句編~

和歌・川柳・俳句

この三つの違いがわかりますか?

「和歌は、5・7・5・7・7の31音で、川柳と俳句はその省略版の5・7・5…」
その通りです。

では、川柳と俳句の違いはどこにあるのでしょうか?
形だけ見ると、どちらも「5・7・5」で区別がつきません。
川柳と俳句を分けるもの、それは、「季語があるかないか」です。
季語なしの俳句を川柳といって、考案者の柄井川柳の名前を冠しているのです。

俳句の魅力について

では、俳句の魅力はどこにあるかというと、やはりそのアイデンティティである「季語」にあります。「季語」こそが、背後にある日本文化を呼び起こす最強のツール。だからこそ、たった17文字で感動が伝わるという驚異の「情報圧縮力」が生まれてくるのです。

現代的に言えば、「リンクをクリック」するようなもの。季語を一つ読み込むだけで、その言葉の奥にある、何千年もの間日本人が蓄積してきた文化伝統の宇宙にアクセスすることができるのです。

季語の種類はさまざまにわたります。「初日の出」「天の川」といった「天文」の季語に始まり、「サンダル」「朝寝」といった「生活」の季語。(「朝寝」は春の季語です。「春眠暁を覚えず」という有名な言葉を思い出しますね。)「運動会」「クリスマス」といった「行事」も立派な季語の一つです。ほかには「カブトムシ」「秋刀魚」といった「動物」の季語、「梅」「ひまわり」「コスモス」といった「植物」の季語も有名ですね。

こうした季語たちは、「歳時記」という書物の中に収められています。外国人の方が日本文化を知るうえでこれ以上の教材はないのではないでしょうか。

川柳の魅力について

では、一方でこの「季語」抜きの「川柳」には、どんな魅力があるのでしょうか。
川柳の魅力、それは「自由度の高さ」にあります。
「季語」という制約が外れることで、5・7・5の空間がさらにのびのびと広がっていきます。
そんな川柳には、たくさんの種類が存在します。

伝統川柳

一つ目は「伝統川柳」。これは川柳の考案者の柄井川柳の精神を現代においてそのままの形で継承した、伝統的な川柳のことを指します。伝統川柳の命は、「うがち、軽み、笑い」にあります。

「うがち」というのは、テーマや切り口の斬新さです。「おっ!」と思わせるような奇抜さ、そこに川柳の醍醐味があります。日常の何気ない場面であっても、視点を変えるだけでまったく異質な風景が浮かび上がる。これが「うがち」です。

そして「軽み」というのは、題材に対しての味付けの仕方を工夫することです。たとえ人の死や国家の盛衰といった重いテーマを扱っていたとしても、みんなが気軽に楽しめるライトな味付けをすることで川柳のまな板の上に載せることができます。単なる「浅さ」ではないということに注意が必要です。

最後にくる「笑い」の要素は、ある意味一番大事だといってもよいかもしれません。川柳の種類によって、クスッと微笑を誘うレベルから、腹を抱えて笑うレベルまで様々です。「うがち」「軽み」のある川柳であったとしても、人を「笑い」まで導くためには相当な努力が必要です。ギャグや漫才からも、学ぶべきことは多いですね。

時事川柳

二つ目は「時事川柳」。こちらは先ほどの伝統川柳に、「風刺」の要素が加わったものになります。緊迫する国際情勢や、停滞する国内の政治について詠んだものなどがこれにあたります。たとえばこちら、「国境が行ったり来たり海の上」。うまい時事川柳を詠むには、同じ時代にあっても遥か遠くの視点から地球を見下ろすような、超越した視点を持つ必要がありますね。

現代川柳

三つ目は「現代川柳」。こちらは、現代を生きる我々の心象風景を切り取ったスナップショット。言葉を換えれば、書き下ろしエッセーを5・7・5に凝縮したようなものです。たとえばこちら、「ラブレター焼いて弱さの盾とする」。伝統川柳との明確な線引きは難しいですが、登場する小物や大道具が現代的なものになると、「現代川柳」のジャンルに分類されます。

まとめ

さて、ここまで「俳句」と「川柳」の種類についてご紹介してきましたが、あなたはどちらがお好みでしょうか? まとめるとすれば、「文学性」を追求するなら「俳句」、「ユーモア」を磨くなら「川柳」と言えるかもしれません。

俳句を通して養える、季節の風景の一つ一つを愛でる精神は、日本人として生まれてこそ味わえる最高の醍醐味の一つですし、俳句を通して鍛えられる「切り返しの力」は、普段の仕事における「キャッチコピー力」「対応力」につながってくるはずです。そうした意味で、「俳句」と「川柳」は、現代を生きる私たち日本人にとっても豊かな文化的源泉であり続けると言えますね。

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