【おすすめ宇宙映画を語る~オデッセイ編~】宇宙ビジネス編集長太田裕二×映画脚本家石橋勇輝の対談

対談動画

 

冒頭

編集長「はい、皆さん、こんにちは。Space Biz編集長の太田です。対談の相手は、お馴染みのいっしーです。宜しくお願いします。いっしー、今回はこちら、オデッセイという映画なんですよ。」

いっしー「割とこちらは最近ですよね。記憶に新しいです。」

編集長「この映画は2015年に米国で製作され、日本でも2016年に公開されています。昨年2021年は火星探査ラッシュの年でしたので、旬の映画でもあるし、これぞまさに宇宙映画って感じがしませんか。」

いっしー「そうですね。今まで紹介してきた宇宙映画の中でも、さらに宇宙好きな人が観たら興奮する要素が詰まっていますね。」

編集長「原作はアンディ・ウィアー著者の『火星の人』で、NASAの全面協力で圧倒的なリアリティを実現していますよね。特にクルー達の無重力の描写はお見事です。」

いっしー「宇宙映画で言えば、無重力は凄く重要ですね。」

編集長「NASAの予算はJAXAの約10倍ありますからね。今回も3つ位に論点を絞って語ってもらおうかな。では、いっしー、早速、1つ目の論点はどうですか。」

論点1:SF版ロビンソン・クルーソー

いっしー「こちらはですね、もともと原作は『火星の人』ですが、SF版のロビンソン・クルーソー。」

編集長「それ、ぴったしかもしれないね。」

いっしー「原作は普通の本ではなく、Kindleで無料出版されたアマチュアが書いた本なんです。」

編集長「へぇー、そうなんだ。知らなかったな。」

いっしー「作者のアンディ・ウィアーさんは、これ以外に特に本を書いてなくて。ネットでぼちぼち書いていたものが、たまたまヒットしてしまって。あまりにも人気が出てしまったので映画化されたみたいな。」

編集長「でも、アメリカ、やっぱ凄いね。それで映画化しちゃうんだから。さすがですね。」

いっしー「しかも作者の方も本当の科学者というかは、インターネットでいろいろ検索して面白いと思った事実を詰め込んで小説を作ったんです。ネット時代に作られた名作ですかね。」

編集長「そうかもしれない。新しいね。」

いっしー「テイストも普通のSF作家が書くものと違って、アマチュアだからこそアマチュアの心が分かるというか。そういった形で心を掴んだのかなと思いますね。なので、興行収入的には大ヒットしましたし、オバマ元大統領も絶賛されてましたね。たった一人で火星に取り残された宇宙飛行士が、どうやって生き残ったかというのを描いた映画なんですけど、全く新しい形のSF映画なのかなと思います。」

編集長「主人公マーク・ワトニー役のマット・デイモン氏の名演技が素晴らしい。映画の大半はマット・デイモン氏一人の演技だったよね。」

いっしー「舞台でも一人で演じる一人舞台っていうのがありますけど、ほんとに素の実力を発揮してますね。」

編集長「ちょっと調べたんだけど、マット・デイモン氏の『オデッセイ』で受け取ったギャラは、何と2500万ドル(約30億円)だったようです。何人分のギャラかっていう位もらっているんですよね。でも、納得するところもありますね。」

いっしー「この映画はマット・デイモン氏なくして出来なかったので。面白いですね。」

論点2:どんな困難な状況でも生き延びる術はある

編集長「ではね、2つ目の論点はどうですか。」

いっしー「実際に内容に入っていくんですけど、この映画を観ると、どんな困難な状況でも生き残るすべはあるという、力強いメッセージが伝わってきますよね。一番最初に、腹に突き刺さったアンテナを自分で手術して取り除かなくてはいけないというブラックジャックみたいなことをしていたんですけど、まずそこからスタートですね。食料もないということで、宇宙で何を育てるかといったら、じゃがいもですね。じゃがいもを育て始めると。

そのためには、水が必要で、水を作り出すために水素や酸素の火種が必要ですよね。ただ、宇宙って、燃えないような物質で全部作られているんですよね。宇宙船とか火事が起きちゃうと大変なので。どういった形で火種を作ったかというと、ここで問題点はあるんですけど、木製の十字架を削って火を起こすと。話題を呼んだんですけど、神に頼らず自分の力で生き残るっていう、ロビンソン・クルーソーと似たようなメッセージが込められているのかなと思いますね。」

編集長「信仰持っている国の人々は怒ったんじゃない。」

いっしー「反感をかった点はあったみたいですね。」

編集長「日本人だと分かりづらいけどね。海外の方だと怒る人いますよね。」

いっしー「メッセージ性として伝わってしまうので。」

編集長「僕のメッセージだったら、自助努力する中に神のご加護があるって感じかな。頼りすぎるんじゃなくてね、自分でやることやる方に天の救いがあるっていうのが正しいのかもしれないね。」

いっしー「実際、この映画ほんとに奇跡的な生還果たすということなので、最後には神の力の描写がされていたのかなって感じはしましたね。」

編集長「なるほど。いっしーの方でじゃがいもの話もあったと思うんだけど、面白いビジネスが出て来てます。最近、月面や火星の土をベースにした高機能ソイルを開発して、宇宙でも作物栽培可能なシステムをつくる、ベンチャー企業が日本でも出て来たんですよ。」

いっしー「そうなんですね。凄く旬な。」

編集長「そこも旬なんです。映画同様に有機質肥料を混ぜ合わせた人工土壌なんですよね。『オデッセイ』を久しぶりに観なおしていたら、ビジネスでも似たようなことが考え出しているベンチャー企業が出て来たなという印象を受けましたね。」

いっしー「そうなんですね。今の宇宙ビジネスを知るなら、この映画を観た方が良いということですね。ビジネスアイディアが詰まっているかもしれない。」

論点3:一人の宇宙飛行士の命のためにどこまで犠牲を払うか

編集長「ではね、3つ目の論点はどうですか。」

いっしー「一人の宇宙飛行士の命にどれ位犠牲を払うかというところが、隠れたメッセージとしてあるのかなと感じましたね。たった一人しか取り残されていないんですけど、たった一人を救うために派遣するかとか国内でももめるシーンがありました。

アメリカって、たった一人でも人命は救助する伝統があると思います。映画史に残る『プライベート・ライアン』っていうスピルバーグ監督の映画もあったと思うんですけど、戦場に取り残された、たった一人を救いに行くという映画ですね。以前、対談した『ガガーリン 世界を変えた108分』では宇宙飛行士が宇宙で死んでも無にされるみたいな。」

編集長「反対だよね。」

いっしー「アメリカと社会主義の国とは全く真逆な感じがしますね。アメリカは人権を大事にするっていうメッセージを伝わってきますよね。帰還後に後輩を育成するっていうシーンがありますけど、たった一人でも生き残ったドラマがあり、後に続く何百万人も鼓舞出来るっていうところでたった一人の力っていうのは大きいんだなと思いますね。」

編集長「合理的な目でみると、たった一人のためにってなるんだけど、その一人がその後の人生で物凄い大きな仕事をする可能性がありますよね。無にしてはいけないよね。どう活躍するか分からないから。」

いっしー「そこは、やはりアメリカの力というか、潜在力なのかなと思いますね。」

編集長「確かにそうかもしれないね。別の見方をすると、人権と政治体制の違いも色濃く出ていますね。」

いっしー「宇宙開発っていう一つの切り口とってみても違いますね。」

編集長「あと、主人公は自分の人権を訴えるのではなく、天職のために死ねる幸福や絶望的な状況でも考えろと自助努力をすすめているのが、僕は印象的でしたね。」

いっしー「自助努力の精神が大事ですね。」

編集長「さっきから何度も言ってますが。自分でやれることは何でもやらないと生き残れないということですね。」

いっしー「話し相手もいないですし。自分しかいないので。」

編集長「考えなければいけないってことですね。

まとめ

編集長「今のところ、人類は有人火星探査に成功していませんけど、2030年代になると米国や中国で現実的になりそうです。UAEは火星移住計画まで既に発表していますからね。今回のオデッセイは、有人火星探査幕開けの映画と言えるかもしれません。」

いっしー「近未来を正確に描いた映画なのかなという感じがします。」

編集長「皆さんに是非観ていただきたい映画だと思います。では、次回もお楽しみに。バイバイ。」

いっしー「凄くおすすめですね。バイバイ。」

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