世界の測位衛星システム

今やスマートフォンを使って、地球上のどこに自分がいるかがわかり、目的地に迷わず到着できる便利な世界になりました。カーナビはもちろんのこと、子供や老人の見守り、ゲームや自動運転など正確な位置を利用していろんなサービスが誕生しています。これを支えているのが世界の測位衛星システムです。

■測位衛星の代表 GPS

一番有名なものがGPSです。実はGPSは、アメリカが提供しているシステムです。GPSは、世界で最初に始まった測位衛星システムで、現在では、軌道上に31機が配置されています。元々は軍事用に開発されましたが、1990年代から民間での利用が可能になり、航空機の測位、自動車のカーナビや測量など、広く利用されています。民間利用の初期からカーナビで使われてきたので、一番知られている名前です。

ところが今では、6カ国が衛星測位システムを運用しており、軌道上には100機近くの測位衛星が配置されています。2020年までには、120機を超す測位衛星になる計画です。

■日本の準天頂衛星システム“みちびき”

GPS以外の各国衛星測位システムとしては、まず、日本の準天頂衛星システム“みちびき”です。米国のGPSを補う役割を果たすことから「日本版GPS衛星」とも呼ばれることがあります。“みちびき”は、日本国内でcm級の位置精度を提供できる補強信号を提供しているのが他のシステムと大きく違うところです。

現在、4機体制で運用され、2023年度目途に7機体制が予定されています。
それからロシアのGLONASS(グロナス)、中国のBeiDou(ベイドゥ=北斗)、欧州のGalileo(ガリレオ)、インドのNavIC(ナビック)という各国独自の衛星測位システムを整備しています。そして、これらを総称して、 GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)と呼びます。

■測位衛星の仕組み

ところで、測位衛星は、利用者1人ひとりに、位置を教えているわけではありません。GNSSの測位衛星から送られてくる信号は、衛星自身の軌道上の位置や原子時計(数十万年に1秒程度の誤差)程ではありませんが、ものすごく正確な時刻などの情報です。放送衛星から映像情報が送られてくるように、位置情報を送っている訳ではありません。みなさんが持っているスマートフォンやカーナビに入っている受信機で、複数の測位衛星からの信号を受け取り、3点測量をするように、今いる位置を計算して、電子地図の上に表示しているのです。仮に信号の受信時刻が100万分の1秒ずれるだけで距離の誤差は300mにもなってしまうので、受信機では、4つ以上の測位衛星から電波を受信しています。

■まとめ

これから衛星測位システムは、ますます充実し、合わせて高精度な電子地図の整備や安価な受信機の登場で、位置情報を使った様々なサービスが生まれることでしょう。産業の拡大や安心で便利な社会とともに、新たな文化の創出につながることが考えられます。

アメリカのGPS衛星イメージ
出所:国土地理院ホームページ