【宇宙ビジネス】中国の宇宙開発史と近未来計画
宇宙ビジネスの最新動向をわかりやすくお伝えしています。
一般のビジネスマンの方や学生の方などに、全体像や今後をイメージしていただける内容です。
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導入
はい、皆さん、こんにちは。Space Biz編集長の太田です。今回は、ですね、いつもと違った切り口で宇宙ビジネスを述べたいと思います。
題は「中国の宇宙開発史と近未来計画」です。いまや、宇宙開発においては、米中2強のようになってきているので、中国の開発史と近未来計画を知ることは重要ですよね。
私の方で、2つの表を用意してきました。こちらです。
中国の宇宙開発史
では、「中国の宇宙開発史」の方から見ていきましょうか。ざっくりしたものですけど、効率良く要点を把握出来るのではないかと思います。
1970年
まず1970年に中国初人工衛星「東方紅1号」を打ち上げ成功です。初めての打ち上げロケット長征1号は、中距離弾道ミサイル東風4号を改造して開発されています。
弾道ミサイルと打ち上げロケットは基本的な技術は共有しているんです。宇宙開発だけを目的にしている、打ち上げロケットを開発した日本は、むしろ例外なんですよね。
人工衛星打ち上げ成功により、中国はソ連,米国,フランス,日本に続き、世界で5番目の人工衛星打ち上げ国となりました。日本は4番目ですが、人工衛星「おおすみ」を中国の2カ月前に打ち上げているんです。
1970年から2003年まで間がありますので、その辺りも少しお話しますね。この間の大きな転機は、何の出来事だと思いますか。実はですね、1991年の湾岸戦争なんです。米国軍が広大な砂漠で進軍を可能にしたGPS利用に、中国は大きな刺激を受けているんですよね。
1994年から中国版GPS「北斗」の開発に着手し、昨年2020年に完成させています。
1970年代から1980年代の人工衛星打ち上げは試験目的が大半でしたけど、1990年代に入ると、通信衛星や気象衛星など実用的なものになってきます。
中国版GPS「北斗」も、こうした流れの中で開発されました。1999年になると、有人宇宙船「神舟1号」で、無人試験飛行が行われました。
2003年
次は2003年に「神舟5号」で中国初有人宇宙飛行に成功です。中国初の宇宙飛行士は国民的英雄の楊利偉氏で、来日したこともある方です。有人宇宙飛行に成功した国は、未だにソ連,米国,中国の3カ国しかないんですね。
2007年
次は2007年に人工衛星の破壊実験に成功です。大量のスペースデブリが発生して、国際世論から強い批判を受けます。
何とですね、批判後も、中国はこのASAT実験を止めずに続けるんです。実は宇宙戦争の準備は既に始まっていて、次なる大きな大戦は宇宙が主戦場になるかもしれません。
2013年
次は2013年に月面無人探査機「嫦娥3号」が月面着陸に成功です。1976年ソ連のルナ24号以来37年ぶりのことでした。
2019年
次は2019年に月面無人探査機「嫦娥4号」が世界で初めて月の裏側に着陸成功です。米国のアポロ計画で、宇宙船が月の裏側に着陸出来なかったのは、電波が届かず地球との交信が出来なくなってしまうからでした。それを解決するために、中継衛星を事前に打ち上げていたんです。
2020年
次は昨年ですね、2020年に火星無人探査機「天問1号」を打ち上げ成功,月面無人探査機「嫦娥5号」が土壌サンプルの持ち帰り成功。そして、先程の中国版GPS「北斗」の完成などがありました。
無人探査機の方は、ソ連や米国に続く快挙ですし、「北斗」は米国のGPSの精度を上回っているんですよ。中国の方が、誤差が少ないというのは驚きですね。
中国の宇宙開発計画
では、もう一枚の表「中国の宇宙開発計画」を見てみましょうか。
2021年
まず今年ですね、2021年に火星無人探査機「天問1号」が火星に軟着陸です。現在、火星周回軌道に到達しており、数カ月後に火星の軟着陸を予定しています。火星の地形,地質や大気などを調査するようです。
2022年
次は2022年に中国独自の宇宙ステーション「天宮」の運用開始です。定員は3名で3つのモジュールから成り立っています。
予定通り、2024年に国際宇宙ステーション(ISS)が運用を終えると、稼働中の宇宙ステーションは天宮だけとなります。
ただ、ロシアやインドなども独自の宇宙ステーションを考えています。また、政府だけでなく、民間企業の商用宇宙ステーションも、いくつか計画されているんですね。
2028年
次は2028年に火星の土壌サンプルを持ち帰る探査機を打ち上げです。今のところ、火星のサンプルリターンに成功した国はないのですが、米国の火星探査車Perseverance(パーサビアランス)が有望株ですね。
火星に無事着陸したばかりですが、これからサンプルリターンに挑戦します。中国は米国の偉業に追いつき、追い越せの精神で、計画を立てていますね。
2030年
次は2030年に月の南極に月面基地を建設です。先日、中国はロシアと月探査などを行う、国際月科学研究基地建設の政府間合意を発表しました。
月面もしくは月の軌道上に建設される予定のようです。月の南極には水が豊富にあると考えられているので、長期滞在に向いているんですよね。水を分解すれば水素としてロケットの燃料にも出来ますし、飲料水にもなりますので。
2036年~45年
次は2036年~45年に月面基地を建設後、資源開発に着手です。長期滞在出来る体制が出来たら、資源確保に動くということですね。
おそらく、次世代エネルギーとして期待される核融合発電の燃料、ヘリウム3などの鉱物資源の開発を考えていると思います。
2045年
最後に2045年に火星の有人探査です。以前ですね、米国のNASAは、2035年までに有人火星探査は実施される見通しと発表していたので、中国としても実現可能と見ているのでしょう。
ひと昔前までは、宇宙開発競争は米ソで展開しておりました。今や時代も変わり、米中の2大強国が切磋琢磨している状況です。
まとめ
中国は2030年に「宇宙強国」として、米国に対抗する目標を掲げておりますが、現実的になってきた感があります。日本も宇宙開発の最先端で、ぜひ頑張って欲しいですね。今後に期待です。
ご清聴ありがとうございました。チャンネル登録お願いします。
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