欧州のデータプラットフォーム“DIAS”について

最近は、知りたい情報をスマホやパソコンからキーワードで検索すると、ほとんどの情報をいとも簡単にインターネット経由で手に入れることが出来ます。これは、いろんな情報を集めて、整理して誰もが使えるようにしているデータプラットフォームがあるからです。例をあげると、「楽天市場」、「iTunes」や「App Store(アップストア)」などが、成功したモデルと言えます。

■衛星データのプラットフォーム

さて、今この瞬間、たくさんの人工衛星に搭載されたセンサーが、雲の様子、地表面や海面の状態、夜の光、地震や災害の被害状況など地球上の様々な状態を観測して、それらのデータを地球に送ってきています。

欧州では、欧州28か国が加盟する欧州連合を統括する欧州委員会(EC)が主導して、人工衛星からの衛星データや現場のデータを誰もが無料で、どんな目的でも自由に使えることを目指して、データプラットフォームを整備しました。このデータプラットフォームを“DIAS(Data Information & Access Serviceの略)”と呼びます。DIASは、民営化を前提に公募で選定された4つの民間事業者によって、2018年6月から本格的な商業サービスが始まっています。

■4つのDIAS事業者

その4つのDIAS事業は次のとおりです。

1. 「sobloo(ソブロー)」 http://sobloo.eu 
欧州大手宇宙企業Airbus Defense & Spaceが主導するコンソーシアムが運営。ビジネスインテリジェンスの抽出に向けて様々な試行錯誤ができる開発環境に注力しています。提供されるデータは、欧州Sentinel衛星データの他に、マップレイヤープロダクトMuscate、携帯電話の通信データFluxVision、IoTプラットフォームDatavenueなど、環境監視以外のデータとなっています。

2. 「ONDA(オンダ)」 http://www.onda-dias.eu
欧州の大手IT企業Sercoが主導するコンソーシアムが運営。データ取得から処理、データ配信、サービス管理、全体の自動化など、サービス開発に必要となるフロントエンド業務を構成するテンプレート、データアナリティクス機能など、豊富なラインアップとなっています。提供されるデータは、欧州Sentinel、Landsat、SPOT、Cosmo-skymedの気象・海洋データにフォーカスしており、MODIS、MERISやMETOPといった気象衛星や気象観測所データ、アルゴフロートデータなどとなっています。

3. 「mundi(ムンディ)」 https://mundiwebservices.com/
フランス大手IT企業ATOSが主導するコンソーシアムが運営。ユーザー登録からデータ入手・分析の一連の流れが、クラウドコンピューティングサービスの階層構造に近いものになっています。提供されるデータは、欧州sentinel、Landsat、Cosmo-skymedなどの衛星データやGISマップなどとなっています。

4. 「CREODIAS(クレオディアス)」 http://CREODIAS.eu
ポーランドのIT企業主体のコンソーシアムが運営。バーチャルマシンやストレージの提供にフォーカスされ、大量の衛星データを使った研究やビジネスを支援するクラウドコンピューティングサービを提供しています。提供されるデータは、欧州Sentinel、LandsatやEnvisat/Merisなどの衛星デーとなっています。
以上の様に、それぞれ独自のコンセプトに基づいてDIASを開発し、運営を開始していますが、基本的なビジネスモデルは、ほぼ同じです。(下図参照)

■まとめ

それぞれのDIASのサービス内容や有償・無償部分の切り分けについては、それぞれ事業者によって異なっているので、利用者は目的に応じてこれらのデータプラットフォームを選択して利用することになります。