【宇宙ビジネス超入門】2020年ってどんな年(世界編)

皆さん、こんにちは。Space Biz編集長の太田です。宇宙ビジネス超入門者向けに、宇宙ビジネス業界の「2020年ってどんな年(世界編)」として、私の気になるトピックニュースを5つ程簡潔にお伝えします。

目次

新型コロナウイルスの影響

1つ目に新型コロナウイルスの影響です。皆さんも関心のある新型コロナウイルスの影響ですが、今年前半は宇宙関連企業が活動停止や倒産するケースが多かったように感じます。

例を挙げると、ラスベガスのホテル王ロバート・ビゲロー氏が設立したBigelow Aerospaceが全従業員を解雇したり、ソフトバンクグループが2000億円程投資していたOne Webが破産申請したことは私も驚きました。宇宙ベンチャー企業には、現実の企業力というよりも期待値での投資が多いんですね。One Webは、衛星インターネットを構築しようとしていた企業なんですけど、破産後、英国政府とインドの通信大手Bharti Globalが救済し買収しました。

コロナ禍で、航空産業関連がすべて撃沈している状況でも、宇宙ビジネスへの投資は伸びています。過去の歴史をみると、国に保護された業種もありますが、宇宙産業も必要な技術やサービスは国家主導で育成していく傾向が強いように感じます。

NASAが月面着陸船開発に予算

2つ目にNASAが月面着陸船開発に予算です。NASAが月面着陸船の開発にブルーオリジン, スペースX,ダイネティクスの3社を選定し、2021年2月までの期間で、1000億円程の予算を出しました。1972年のアポロ17号以来、約50年ぶりとなります。

3社というよりも数十社以上が連携しますので、3つのチームといった方が良いかもしれませんね。最終的には1社に絞り込まれ、2024年の有人月面探査で使用予定となっています。

民間初の有人宇宙飛行に成功

3つ目に民間初の有人宇宙飛行に成功です。スペースXが民間初の有人宇宙飛行に成功したんですね。米国は2011年にスペースシャトルが退役して以来、宇宙飛行士輸送をロシアのソユーズ宇宙船に頼っていたんです。

有人宇宙飛行を行えるのはソユーズ宇宙船だけとなったので、宇宙飛行士1席あたりの費用は年々上昇。皆さん、どれ位の費用になったと思いますか? 何と1席90億円近くになったとも言われています。

11月に野口宇宙飛行士搭乗の新型宇宙船クルードラゴン運用1号機が打ち上げ成功しました。こちらのロケットのファルコン9はロケット一段目が再使用出来るつくりになっているため、同クラスのロケットの半分の費用で済みます。ですから、宇宙飛行士1席あたりも57億円程と、ソユーズ宇宙船と比較して約30億円お安くなります。

民間初というのは重要で、宇宙旅行ビジネスの幕開けであり、宇宙の商業利用が本格化する流れが出てくると思います。

中国版GPS「北斗」が完成

4つ目に中国版GPS「北斗」が完成です。中国版GPS「北斗」が完成し米国と競争激化になりそうです。皆さんも携帯をお持ちかと思いますが、「北斗」の誤差ってどれ位だと思いますか? 現在の誤差は何と2mから3mで、今後cmまで縮めていく計画なんです。一部地域ではGPSに勝っているんです。

GPSや「北斗」などの衛星測位システムは、自動車の自動運転や軍事用の無人機ドローンでも活躍しています。中国は次世代通信規格5Gと「北斗」の融合も当然考えています。また、中国は宇宙開発を軍事力強化と一体で進めているので、米国のGPS依存を解消したかったんです。1991年の湾岸戦争で刺激を受け、1994年から開発に着手していました。

中東初の火星探査機打ち上げ成功

5つ目に中東初の火星探査機打ち上げ成功です。アラブ首長国連邦(UAE)が中東初の火星探査機「HOPE」を打ち上げ成功したんです。火星の大気データの変化を観測する試みは初めてなので、火星初の気象衛星とも言えます。日本の種子島宇宙センターから打ち上げられています。

まとめ

世界編を見ると、国家主導の育成,有人月面探査,宇宙旅行ビジネス,自動車の自動運転,次世代通信規格5G,火星探査など宇宙ビジネスに関わるキーワードが出て来ます。2020年がどんな年だったのかは、こちらの世界編と日本編を見ると、宇宙ビジネスの動向が見えてくると思います。ご清聴ありがとうございました。チャンネル登録お願いします。