衛星リモートセンシング法とは

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2018.11.19コラム

衛星リモートセンシング法とは

衛星リモートセンシング法の正式名称は『衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律』(以下、衛星リモセン法)と言います。
 
ざっくり言うと、衛星データの利用促進に向け、国の責務と共に高解像度の衛星データが悪用されないようデータの取扱いに制限を設けることや衛星データ取扱いに関する許可制度を設けることなどを定めた法律です。
 
ここでは、衛星リモセン法の条文をひとつひとつ解釈することではなく、なぜこのような法律を整備しなければならなかったのかについて、背景と必要性について概説します。

■リモートセンシング法の背景

まず背景として、衛星リモートセンシング記録とは、人工衛星に搭載されたセンサーによって地球表面を観測してデータとして記録したものです。
 
このデータからは、大気の様子や海面温度や海流、石油や鉱物資源の情報、地震や山火事などの災害の様子など様々な情報が得られるため、農業、漁業、防災、減災、観光や社会インフラの整備・維持等の分野で新たなサービスや新たな産業が創出されることが期待されています。
 
そしてこのデータは、衛星の小型化やセンサーの高機能化・低コスト化によって、ベンチャー企業の参入も増え、取得されるデータは、急速に拡大しつつあります。現在衛星データ利用の市場規模は、2500億円程度ですが、今後10年間で数倍に拡大すると言われています。
 
このように衛星データ利用の拡大が見込まれている状況下で、衛星データを持っている欧米(アメリカ、ドイツ、フランス、カナダ)では、高精度の衛星データを悪用する懸念のある国や国際テロリスト等の手に渡らないように管理するための法制度を整備済で、イギリスやスペインでも検討が進んでいます。

 

■日本での衛星データ

日本でも、政府系の衛星データの高精度化と共に民間事業者による小型観測衛星による衛星データの取得・提供サービスが始まりつつあります。
 
これまで、日本では民間事業者による衛星リモートセンシング記録に関するルールが整備されていませんでした。衛星データを利用する新産業や新サービスの振興、拡大のためにも、制度的インフラとして、衛星リモセン法の整備が重要となってきた訳です。
 
事業者が守るべき基準やルールを明確にして、事業リスクを低減することができ、衛星データ利用拡大につながると考えられます。
 
例えば、農業分野、特に米の栽培分野では、人工衛星を利用した米の食味マップを作成することができ、美味しいお米の生産につながることや漁業では赤潮の早期発見、早期対処できるようなり、生産者の事業リスクを低減することができるようになります。
 

■まとめ

衛星リモセン法は、このように宇宙産業の拡大を目的に整備されましたが、今後は事務手続きの簡素化や過度な規制とならないような措置など実態に則した制度設計と運用によって宇宙ビジネスの拡大につながっていくことを期待しています。

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