宇宙ビジネスの加速を促す“宇宙産業ビジョン2030
近年、民間ベンチャーによるロケットの打ち上げや低コストの超小型地球観測衛星群の開発、人工知能やIOT等と衛星データを組み合せたビジネス、GPSなどの衛星測位を利用した自動運転など国内外で様々な新たな宇宙利用のビジネスが生まれており、そのニュースを目にする事が多くなっています。
■宇宙産業ビジョン2030の概要
こうした動きを踏まえて、2017年5月12日、内閣府宇宙政策委員会産業振興小委員会は、「宇宙産業ビジョン2030」を発表しました。
この「宇宙産業ビジョン2030」では、宇宙産業は、第4次産業革命を推進する駆動力、他産業の生産性向上に加えて、新たに成長産業を創出するフロンティア、さらには民間の役割拡大を通じ、宇宙利用産業も含めた宇宙産業全体の市場規模(現在1.2兆円)の2030年代早期倍増を目指すことを掲げ、下記を4つの柱として政府施策の方向性を示しました。
①宇宙利用産業
②宇宙機器産業
③海外展開
④新たな宇宙ビジネスを見据えた環境整備
そして、内閣府宇宙開発戦略推進事務局、経済産業省、文部科学省や総務省などが一体となって、ビジネスアイデア段階から事業化まで切れ目なく支援する数々の施策が展開されています。
■政府施策4つの柱の現状
宇宙利用産業については、特に、衛星データの利活用促進に重点を置いて、衛星データと地上系のセンサーデータ等異なる様々なビッグデータと融合した新たなビジネス創出やIT等の他産業による衛星データ利用ビジネスへの参入を促す実証プロジェクトや衛星データプラットフォームの整備等が行われています。
宇宙機器産業は、人工衛星の継続的衛星開発による国際競争力の確保や宇宙航空研究開発機構“JAXA(ジャクサ)”だけではなく民間によるロケットや地球観測衛星の開発を目指す新規参入者への支援も積極的に行っています。
海外展開では、相手国の発展段階を意識した戦略的取り組みや国際連携強化に取り組んでおり、新たな宇宙ビジネスを見据えた環境整備については、政府一体となって宇宙ベンチャーの機能や成長を一層支援するため、ワンストップでの相談窓口機能の充実・強化や新たなアイデアや事業創出に向けた奨励・振興を促進する宇宙ビジネスコンテスト「S-Booster」の開催や宇宙分野向けのリスクマネーの供給などが行われています。
■まとめ
このように、宇宙産業ビジョン2030に沿った様々な施策が行われていますが、宇宙産業ビジョン2030を具体化し、宇宙ビジネスを拡大・成長させるのは、私たちが身の回りの困りごとと宇宙を結び付けることで、それを解決できるかもしれないという発想を持つことかもしれません。