G空間EXPO2018講演プログラム「みちびきはじめました!!」
G空間EXPOは、地理空間情報高度活用社会(G空間社会)の実現へ向けて、地理空間情報と衛星測位の利活用を推進するため、産学官が連携し、毎年開催されている展示会です。
2018年は、「『みちびき』はじめました‼~準天頂衛星システム講演会~」というプログラムでした。みちびき(準天頂衛星システム)は、2010年に打ち上げた初号機、2017年に追加3機を打ち上げ、2018年11月から4機体制でサービスを開始しました。さらに、2023年を目途に衛星7機体制を確立する予定です。みちびきからの信号を受信することで、高精度なセンチメートル級の位置情報を得ることが可能になります。この高精度な位置情報を活用することで、自動車や農機の自動運転,ドローンの精密飛行など新たなサービスが期待出来ます。
招待講演では、ソフトバンク株式会社の永瀬淳氏が「宇治市様と一般車両に汎用的なセンサーを搭載することで日常業務における情報収集の自動化を実証中です。」と準天頂衛星を活用した道路維持管理ソリューションの開発を報告。あらゆるものをデータに変え、IoTのプラットフォームビジネスを考えているようです。
株式会社フォルテの葛西純氏は「位置情報の集約と価値ある情報への変換で生活をより豊かにするロールモデルとなりたい。」例として、4カ国語対応のねぶたガイドアプリを紹介しました。ねぶた祭りの際、4500件程ダウンロード実績があり、お目当てのねぶたがGPS情報から分かり、好評を得たようです。
株式会社MASAの末永雅士氏は「みちびきL1Sは良いと思うから使う。2018年7月にザ・ゴルフウォッチ プレミアムⅡを発売したが、誤差は約1~2m以下の高精度を実現しております。」通常のGPSだと、10mを超える誤差が発生してしまったこともあるようです。「みちびきへの要望は、一般消費者が活用する社会インフラとして、安定運用と、運用情報の公開です。」と関係者に熱心に語っておりました。
マゼランシステムズジャパン株式会社の岸本信弘氏は「準天頂衛星利用によるアドバンテージは、準天頂衛星(L6帯)から配信される補強データを利用することにより、cm級の測位精度が単独で得られるため、基準局に必要なコスト(機器コスト、設置コスト、通信コスト等)が不要となり、受信機の低価格化が可能です。」と受信機の低廉化と小型化の開発の流れを伝えておりました。
三菱電機株式会社の明石陽平氏は「自動運転は法制度に沿って急いでいる。自律型とインフラ型を組み合わせれば、レベル3まで対応可。」ただ、課題も多く、限られた道路においても、「工事中」,「死角が多い合流」など交通環境への適用が困難のようです。
5人の招待講演者のみちびき(GPS含む)の活用例は、各自試行錯誤もありますが、将来的に衛星測位ビジネスの発展の後押しになると強く感じました。