小型衛星の打ち上げ遅延から見る New Space の問題点

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小型衛星の打ち上げ遅延から見る New Space の問題点

2020年4月末、Bryce Space and Technology が興味深いレポートを発表した。それは、小型衛星の打ち上げ延期日数とその理由をまとめたものだ。2015年から2019年までの過去5年間に打ち上げられた1078機の小型衛星についてデータを分析したと言う。

平均4カ月の遅延

その結果、意外な結果が浮上した。小型衛星の打ち上げは、おおよそ128日遅延していると言うのだ。ちなみに、この128日は統計的な処理をした結果の中央値とのこと。128日つまり4ヶ月程度遅延するのだ。さらには、1年から2年程度遅延する衛星も200機以上ある。しかし、1週間程度の遅れで打ち上がるのも150機以上もあるので、悲観的な結果ではない。

しかし、筆者は正直この128日と言う遅延日数には驚いている。中央値としてもっと短く、長くても1ヶ月くらいだと想像していたからだ。Old Spaceの時代では、よく1年や2年いやそれ以上遅れることもあった。その理由はどちらかと言うと予算的な都合に依存することが多かった。

ではなぜ128日という遅延日数になのだろうか。その理由を見てみたい。遅延の40%は、小型衛星の開発や製造による遅れなのだ。そして30%強がロケット側の開発や製造、不具合・・・意外とスケジュール通りに行っていないのだ。

ビジネスの特殊化と開発時間

New Spaceの時代は、小型ロケットも、小型衛星も適度な品質とそれほどカスタマイズされない汎用性を持ったものが大量に生産されているはずだ。Old Spaceに比べれば技術水準やQCDは緩和されている印象だった。しかし、今は、ビジネスが非常に特殊化していて、開発に時間を要していることが推測できる。

宇宙品質の開発スキル

その他にも、New Spaceの時代において、世界の多くのベンチャー企業では、初めて衛星開発やロケット開発に着手する人材が多くいて、実は、まだ宇宙品質を開発できるスキルがその域に達していないことも推測される。斬新なアイデアで勝負する世界の宇宙ベンチャーのビジネスは、Old Spaceで実績のないミッションがこのような結果を示し、人材のスキルまでがまだ途上であり、このような結果になっているのだと感じている。

まとめ

もっと、Old SpaceとNew Spaceの“真の連携”ができれば、もっともっとNew Spaceの時代の市場の組成スピードも変わってくると思うのだが。しかし、これは、あと20年から30年いやも少し時間が経てば自ずと解決するかもしれない。日本の宇宙開発でさえも、40年から50年の時間は要したのだから。

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