SpaceXの世界初となる大規模コンステレーション「Starlink計画」の現状
2020年4月22日に、SpaceXはグローバルブロードバンド環境提供サービスであるStarlink計画において、7度目の打ち上げに成功した。既に422機の衛星が宇宙空間に投入されたという。明らかに、世界初であり世界最大となる衛星コンステレーションが構築されたことになるだろう。
SpaceXとStarlink計画
PayPalの創業者でもあるCEOイーロンマスクが手がける世界で最も有名な企業の一つだ。世界の主力ロケットFalcon9によるロケットロンチサービス、ロケットを使った弾丸海外出張、月旅行、火星移住計画、そして、今回のグローバルブロードバンド環境提供サービスであるStarlink計画を手掛けている。Starlink計画のニュースを拝見する度に、随所に驚くところがある。
数種類のロケットラインナップ
1つは、ロケットだけでなく衛星も自社で製造している点だ。ロケットは数種類のラインナップがあり、世界No.1ロケットと言えるのはFalcon9だろう。他にもFalcon HeavyやBFR(StarShip)などがある。ロケットも、衛星、有人関連も手掛ける驚くべき企業だ。
一度に複数衛星を打ち上げ
2つ目は、Starlink計画では1度のFalcon9ロケットの打ち上げで、60機程度の衛星を打ち上げている点だ。SpaceXが公開しているYoutube動画を見る限り、Falcon9から60機の衛星が束ねられたバンチがそのまま宇宙空間に放たれている。その後、個々の衛星が分離されていくようだが、この部分はYoutubeでは見られない… その理由は、企業秘密として技術やノウハウが詰まっているからだと考えている。現在までに7回の打ち上げを実施し、計422機の衛星の軌道投入に成功している。この衛星が軌道投入される様子は、Youtubeなどにもアップされ日本では“銀河鉄道999”のようだと話題になっている。
中型衛星カテゴリー
さらに、これらのStarlink計画の衛星は、初期段階はテストとして高度260km台の高度に投入されているようだ。この高度は、非常に低い高度であり、普通の技術者は疑問に思うだろう。なぜならば、原子状酸素による衛星の損傷、大気による熱の発生など過酷な環境だからだ。衛星が損傷しやすい場所でなぜテストを行うのか。衛星はどのような工夫が施されているのかなど、SpaceXに対する好奇心は尽きない。そのテスト完了後に、550kmの高度に衛星の推進系で上昇していくというのだ。このことからも、これだけの推薬タンク、推進系、そして姿勢制御系が必要であることは間違いなく、衛星が小型衛星のカテゴリーではなく、中型衛星のカテゴリーに当てはまることが想像できる。
止まらないイーロンマスクの野望
そして現在までに3万2千機の衛星を打ち上げることが決まっている。CEOのイーロンマスクによると、これまでに1600機の衛星についてFCC(アメリカ連邦通信委員会)からKaバンド、Kuバンドで許可を得ているらしい。通信衛星なので、周波数に対する許可を世界的に調整しなければならないのだ。この3万2千機という衛星の数、そしてこの大規模なインフラに対してFCCへ調整しているということ自体でもOld Spaceの人間は驚くだろう。しかしまだまだイーロンマスクの野望は止まらない。最近FCCに追加で2800機の通信衛星の許可申請を行っているというのだ。これにより、4万2千機の衛星が宇宙空間で周回することになるのだ。ただただ驚くだけだ。
Starlink計画によるサービスを開始するにあたり、すくなくとも400機の衛星が必要であるそうだ。つまり、サービス開始はもう遠くない時期ということになる。どんな世界が待っているのか、楽しみだ。