最新宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本(齊田 興哉 著)の書評・感想 – おすすめ宇宙ビジネス本6
今回は『宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本』(齊田 興哉著 株式会社秀和システム)をご紹介します。前著『宇宙ビジネス第三の波』の書評と併せて一読いただければと思います。
第1章 宇宙ビジネスの最新動向
世界の宇宙ビジネスの市場規模が増加傾向にあり、宇宙産業の約77%が衛星を活用したビジネスとなっています。世界の主な人工衛星は、リモートセンシング衛星,通信衛星,測位衛星,惑星探査機に分類されます。項目ごとに日米欧などの最新情報と比較してあります。現在の課題として、New Spaceのプレイヤーは日本でも増えているが、大きな実績が出ていない点にあるようです。
第2章 宇宙ビジネスの基礎知識
宇宙空間にモノを運ぶ輸送手段としてのロケット,ロケットと飛行機の違い,4つの人工衛星のそれぞれの用途や構成を紹介しています。コラムの「人工衛星のデータは、リアルタイム活用の時代へ」は大きなビジネスチャンスを生み出すヒントになりそうです。
第3章 宇宙ビジネスのプレイヤーたち
世界中で生まれている宇宙ベンチャー企業は、小型ロケット,小型衛星,衛星データ関連が多数占めています。今後は、衛星データの加工,販売、保険業、金融業、さらに測量といった宇宙利用産業が広がっていくと予想されます。
第4章 ロケットビジネスの最前線
大型ロケットのコスト削減策として、使い捨てから再利用できるロケットの研究に入っており、既に垂直着陸に成功している米国企業もあります。市場拡大しているのは、小型衛星と小型ロケットの分野で費用対効果が高いと思われます。
第5章 人工衛星ビジネスの最新事例
小型衛星を多数打ち上げて、世界各地からインターネットに接続できる環境を計画したり、人工衛星のデータビジネスを手掛ける企業がいくつかあります。そうした流れの中で、小型衛星の大量生産化を公表した企業も出て来ました。人工衛星データが安くなれば、ビジネスの裾野も広がりそうです。
第6章 宇宙旅行関連のビジネス最前線
宇宙ビジネスの現状として、宇宙旅行,宇宙ホテルなどと共に宇宙服や宇宙食の開発も進んでおります。宇宙空間でエスプレッソを楽しめるのも斬新なアイディアですね。(笑)日本の大手芸能プロダクションも宇宙ビジネスに参入しましたので、新時代のエンターテインメントが始まるかもしれません。
第7章 中国の宇宙ビジネスの動き
宇宙太陽光発電所の開発,中国版宇宙ステーションの建設,20人乗りの宇宙旅行機計画等宇宙国家プロジェクトでは日本よりもかなり進んでいるように感じます。宇宙産業でも米国と競争時代に入ると思うので、中国の政策も目が離せないです。
まとめ
図解入門業界研究の書籍なので、宇宙ビジネスに関連のない方にも読んでいただきたいです。次のステップで『宇宙ビジネス第三の波』を読むと宇宙産業の理解がより深まります。