Orbital Fab、軌道上衛星への燃料再充填テストに向けて資金調達成功!

2020年3月31日、米国のベンチャー企業Orbital Fabは、軌道上衛星への燃料再充填テスに向けて、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)から資金調達を受けたと報じられました。

Orbital Fab とは

2018年1月に設立され、米国サンフランシスコを拠点とするたまだまだ若い宇宙ベンチャー企業です。現在までに、様々なエンジェルやBolt、Techstars VenturesやTechstars Starburst Space Accelerator、Helios CapitalなどのVCから資金調達に成功し、現在までの約3億円の資金調達に成功しています。

Orbital Fabの創設者であるCEOのDaniel Faber氏、CMOのJeremy Schielは、昔から宇宙ビジネス業界にいる技術者だ。数年前までにDeep Space Industriesで共に働いていたメンバーだ。Deep Space Industriesで二人は出会ったようだ。

Orbital Fab が目指すビジネス

Orbital Fabが目指しているのは、軌道上の燃料が枯渇する衛星に対して、ロボットを搭載した衛星で、燃料を再充填するビジネスを手掛けようとしている。現在までに国際宇宙ステーションISSで、水を使って無重力状態において、燃料再充填の模擬実験を行った。

衛星の燃料が枯渇することは、衛星の寿命を意味する。その寿命を迎える衛星に対して燃料を補給することができれば、衛星の寿命は延命するのだ。衛星自体、高価なものであるため、衛星を保有する企業にとっては、非常にありがたいビジネスなのだ。

実はSpace LogisticsというNorthrup Grummanの子会社が同様のビジネスを展開している。MEV-1という2t級の衛星を3ヶ月以上かけて電気推進で静止軌道にあるEutelsatに対して実際に燃料補給に成功している。他にも中国が同様の取り組みを開始している。

新しい衛星軌道上ビジネス

 筆者は、このビジネスを“衛星軌道上ビジネス”と位置付けている。従来は、衛星自体が、地球に対してサービスを提供するために打ち上げられるものだった。
 
しかし、現在は、衛星が宇宙空間にいる衛星自体にサービスを行うものが出始めている。このビジネスは、カメラなど人間の目で見ながら実施する可能性はあるものの、ほぼ全てのケースが、遠隔でセンシング技術を駆使した非常に精度の高い、ランデブー・ドッキング技術が必要とされるため、技術自体の参入障壁が高いのだ。そのランデブー・ドッキング技術に対して。プラスアルファの技術でビジネスを展開するものだ。
 
今後、ランデブー・ドッキング技術とそのビジネスに関連するプラスアルファ技術で斬新で多種多様な衛星軌道上ビジネスが創出されると筆者は考えている。