JSASS宇宙長期ビジョン2050(案)
2018年10月25日に福岡で一般社団法人日本航空宇宙学会(以下JSASSと略)より宇宙長期ビジョン2050の素案が発表されました。第62回宇宙科学技術連合講演会プログラム内の一つです。JSASS宇宙長期ビジョン2050には、主に1.人類はどこで活動しているか?2.誰が宇宙活動を行っているか?3.宇宙活動は何をもたらしているか?の3つの柱があります。素案ではありますが、興味深い点を一部抜粋でご紹介させていただきます。
1.人類はどこで活動しているか?
【地球近傍】
地上に限定されていた人間社会が地球近傍の宇宙に広がっている。様々な方法で宇宙にアクセスできるようになり、一般市民が宇宙活動に参加している。
【月】
国資本・民間資本による複数の月面基地が存在し、主に職業宇宙飛行士と宇宙滞在者による人間社会が形成されている。一般市民も月に短期滞在している。
2.誰が宇宙活動を行っているか?
【宇宙滞在者】
職業宇宙飛行士の他に建設業者やIT技術者等が月面基地建設に参加し、月面基地における人間社会を形成している。また、火星では有人活動が継続的に行われている。
【産業界】
一般市民が宇宙活動に参加することをサポートするビジネスが展開している。民間企業が地上のスペースポート、地球低軌道や月を拠点として複数のビジネスを展開し、一般市民がその恩恵を受けている。新しい輸送システムの確立による人や物質の大量輸送が実現しており、宇宙で生産されたデータ・物・エネルギーに基づく産業が様々な分野に展開している。
3.宇宙活動は何をもたらしているか?
【産業構造の変革】
地上と宇宙空間間の大量輸送や、情報・ロボット技術の進化等が、産業構造に変革をもたらしている。異業種企業や新興企業の参入だけではなく既存企業の新規分野開拓を、様々な民間資本が後押しするとともに、関連した法整備等が進んでいる。
【新しい価値観の醸成】
一般市民の生活圏が地上から地球近傍に広がることにより、「人類の宇宙進出」や「地球環境の保護」等に対する、新しい価値観が醸成されている。
このビジョンは、研究者・技術者が研究開発の目標に使い、新たな発想育成を得ることが目的です。2019年4月頃、最終版の発表予定となっておりますので、今から楽しみです。