S-NETセミナー・ワークショップin大阪
2018年10月15日にS-NETセミナー・ワークショップin大阪が開催されました。
S-NETとは、2016年3月内閣府が創設したスペース・ニューエコノミー創造ネットワークの略称です。「宇宙」をキーワードに新産業・サービス創出に関心をもつ企業・個人・団体などの活動を支援・創出するネットワーキング活動をしています。
現在は、内閣府と経済産業省が共同で運営して、宇宙ビジネス創出推進自治体の育成・支援や衛星データ利用等に関する出前講座等を主な活動方針としております。2018年のS-NETセミナー・ワークショップは、今回の大阪から始まるので、内閣府と経済産業省の講演者の方を中心にお伝えしたいと思います。
最初に、内閣府の高倉秀和氏が「宇宙産業政策の新たなビジョン」について講演しました。
1.宇宙ビジネスの動向の中で、衛星データの急増とAIを活用した新たな価値創造の動きを説明されました。小型衛星の登場で低廉化されたため、画像と通信量の増大及び高速化が進み、AIの活用へとつながったようです。
2.準天頂衛星システム「みちびき」とその利活用では、宇治市とソフトバンク株式会社が路面情報検知システムの実証実験を実施、そしてNEXCO東日本は除雪作業支援システムでの実証実験を開始しているようです。
3.新たな宇宙ビジネス育成に向けた具体的取組は、リスクマネー供給拡大に向けた支援策を強調しておりました。
次の講演は、経済産業省の國澤朋久氏が「ビッグデータ時代の新たな衛星データ利用」についてでした。
ビッグデータ,AI,IoT等の技術革新により、宇宙データを活用したアプリケーションの拡大、ソリューションビジネスが急速に進展しつつあると述べておられました。
今、最も力を入れているのは、新たに整備する政府衛星データオープン&フリープラットフォームのTellus(テルース)のようです。民間主体の取組として、当初21の事業者・団体・サービスで構成されるxDATA Alliance(クロスデータアライアンス)も発足されたので、衛星データの利用促進になるのではないかと思います。
実証事業紹介例では、電力インフラの遠隔監視等に関する実証,豪州での準天頂衛星システムを活用した自動運転車実証,自然放牧型畜産農業への衛星データ利用とどれも興味を引くものでした。
民間企業の講演者は、宇宙ベンチャーの株式会社うちゅうの坪井俊輔氏や長年画期的な商品を生み出しているマゼランシステムジャパン株式会社の岸本信弘氏など若手経営者とベテラン経営者がそれぞれの立ち位置で宇宙ビジネスを語りました。やはり、宇宙関連ビジネスは理系出身の経営者が多いです。
セミナー後のワークショップは、①Google Earth Engineを用いたリモートセンシング講座②衛星データ等からソリューションアイデアを創出するためのメソッドを学習するアイデアソン③宇宙ビジネス相談会と3つのコースから選択出来ます。
S-NETの目的は、スタートアップ段階で気付きの機会を与えることだと思いますが、私の場合、宇宙ビジネスの全体像の理解が深まったように感じます。