三井物産が発表した Spaceflight 買収から考える宇宙ビジネスの変化

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三井物産が発表した Spaceflight 買収から考える宇宙ビジネスの変化

2020年2月12日、三井物産がSpaceflight industries(以下、Spaceflight)を買収したというプレスリリースが出されました。

Spaceflightとは

Spaceflightは、米国シアトルを拠点とするベンチャー企業です。主にロケットロンチサービス、ミッションマネジメント、ペイロードの搭載、衛星ライドシェアなどのサービスを展開しています。

2020年1月15日のSpace Biz ニュースで米国ベンチャー企業TriSeptを紹介しましたが、SpaceflightはTriSeptと類似したビジネスを計画している企業なのです。

三井物産は、ちょうど2年前の2018年3月14日に発表したプレスリリースで、Spaceflight に対して出資を決定しています。出資額についてはプレスリリースには示されていませんが、各方面からの報道から$150M(約150億円)程ではないかと言われています。それから、Spaceflightは、様々な顧客と共に、着実に実績を積んできています。
 

買収から見る三井物産の狙い

今回のニュースを見て、考えられる点は下記があります。

複数の小型衛星を大型ロケットで打ち上げ

一昔前まで、小型衛星を所定の所望の軌道へと投入するためには、大型ロケットではなく、小型ロケットで行うというのがビジネスの普通の考え方でした。しかし、最近は多数の小型衛星を一度に大型ロケットに搭載して、宇宙空間へと放出するシーンが増えてきています。SpaceXのStarlink計画、Onewebの計画、Amazonの3,000機などが良い例です。こんな膨大な数の衛星を小型ロケットで打ち上げていたらキリがない…三井物産は、この点に商機を感じているのではないかと思います。

座席を買ってもらうコンセプト

Spaceflightは“ロケット”という概念を前面に打ち出していません。ホームページ上に「Buy a Seat, not a rocket」というキャッチフレーズ掲載しており、これがSpaceflightの強みと言えるかもしれません。つまり、ロケットで打ち上げてもらうのではなく、小型衛星を搭載してもらう座席を買ってもらうというコンセプトなのです。このような表記の方が、お手軽感が出でます。しかも、月と地球の間の軌道等大抵の軌道へと連れていってくれます。お手軽感と高品質なサービスとなれば、引くてあまたになるのではないでしょうか。
 

まとめ

さらに、今回の買収には、山佐も参画しています。山佐は、パチスロなどのアミューズメントを手がける岡山県の企業です。山佐の思惑はまだ不明ですが、宇宙ビジネスとアミューズメントの融合を検討している可能性は高いのではないか思います。

このようなニュースを耳にし分析してみると「宇宙ビジネスが、特殊な市場領域から一般的な市場領域へと徐々に変遷してきている」。そんな感じがするのは筆者だけでしょうか。

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