米国ロンチインテグレーターTriSeptと英国・デンマークのロケットベンチャーORBEXが業務提携を発表
2020年1月14日、英国・デンマークのロケットベンチャーORBEXは、米国のLaunchインテグレータTriSeptと小型ロケットの打ち上げ業務について提携していくことを発表しました。ニュースリリース
ORBEXとTriSept
英国・デンマークのロケットベンチャーORBEXは、Primeという小型衛星用ロケットのロンチサービスを計画しています。Orbexは、英国政府、ヨーロッパ最大のベンチャー・キャピタル・ファンドである、サンストーン・テクノロジー(Sunstone Technology)、そして エレクノア・ダイモス・スペース(Elecnor Deimos Space)などから総額で、$39.8M(約40億円)の資金調達に成功しています。そして、2021年にPrimeの打ち上げを目指しているのです。
Primeロケットは、一説によると全高17 m、直径1.3 mで、100-200 kgの小型衛星を高度220-1,250 kmの軌道へ投入できるという。また、バイオマス、スラッジ、などの有機ゴミから抽出するバイオプロパン(biopropane)と液体酸素を推進薬に選んでいる。さらにPrimeロケットにおいて特筆すべきは、3Dプリンタによるエンジン製造とZero shock separation(ロケットの分離時、衛星分離時の衝撃がゼロ)という点と筆者は考えています。分離衝撃がゼロという点は、衛星設計にも劇的な革命を与えます。
一方、米国のTriSeptは、ロケットに衛星を搭載するため必要な業務を行うロンチインテグレーション業務や衛星プロジェクト支援や衛星運用なども手がける老舗企業です。21年以上の実績があり、現在までに200以上の衛星のLaunch インテグレーション業務を様々な射場にて手掛けた実績があります。
2社が狙うロケットビジネスの市場
そんなTriSeptとORBEXは、何を画策しているのでしょうか?
Orbexは、現在までに英国のSurry Satellite Technology(SSTL)やスイスのAstrocastから小型衛星の打ち上げを受注しており、2021年の打ち上げを目指しています。しかしながら、米国には、Space X、Rocket Lab、Vector Space Systems、Virgin Oribtなどロケットベンチャーが多く、米国市場に苦戦しています。そのため、TriSeptの競争力を借りて、米国市場を開拓したいと考えているのです。TriSeptも同様にヨーロッパ市場を開拓したいのです。
また、ロケット打ち上げが、このようなロケットに衛星を搭載するため必要な業務を行う効率的なロンチインテグレーション業務を取り入れることによって、New Spaceの時代はさらに最適化されていくのだろうと筆者は予想しています。New Space時代にふさわしいサプライチェーンが構築され、さらにロケットの価格も下がっていくでしょう。