S-Booster2019
11月25日に開催された「S-Booster2019 最終選抜会」に参加してきました。
S-Boosterは、宇宙ビジネスのアイデアを発掘するのを目的として開催されているアイデアコンテストです。
2017年にスタートし、2018年に続き、今年で3回目になります。
今までは日本国内のみで、アイデアを募集していましたが、なんと今年から日本だけでなくアジア・オセアニアにもアイデア募集を広げています。
募集期間を通じて、日本国内から200件、アジア・オセアニア地域からは約100件もの応募が集まりました。
今回の最終選抜会は、予選を勝ち抜いた12チームの中から、優勝者を決めるために行われました。
■概要
S-Booster2019
2019年11月25日(水)
13時30分~17時50分
日本橋三井ホール
■スケジュール
13時30分~ 開会、オープニング
13時35分~ アジア共催挨拶
13時40分~ 審査員、各賞、審査プロセスの紹介
13時55分~ プレゼンテーション
16時15分~ スペシャルトーク
17時05分~ 審査結果発表・授与式
17時45分~ 講評・閉会挨拶
開会の挨拶など
S-Booster2019の実行委員会 実行委員長代理の松尾氏が開会の挨拶をされました。
宇宙ビジネスは、今までの政府が行うものから、民間企業が担うようになってきている。そんな中、民間のアイデアをいかにビジネスにつなげていけるかが課題となっている。
アジアにも応募を広げた12組の最終選考会で、より宇宙に興味を持ってもらい、ますます宇宙ビジネスが発展していくようにしたいと話しました。
審査基準と賞金
下記3つのポイントを審査基準としています。
実際のビジネスにつなげ、社会に貢献していくアイデアが評価されます。
1:収益性
2:革新性
3:社会発展性
また、各賞の賞金などは下記です。
・最優秀賞 賞金1000万 1件
・審査員特別賞 賞金200万 1件
・スポンサー賞 賞金50万 7件
・JAXA賞 1件
プレゼンテーション
各チーム5分間の持ち時間の中で、プレゼンテーションが行われました。
参加したチームとテーマは下記のとおりです。
No1
テーマ:スマート水産養殖に向けた宇宙水産養殖アドバイザリーシステム
チーム名:Bluewatch
国:タイ
概要:衛星データを活用して、シーフードの天候リスクを避けるサービス
No2
テーマ:ふうせん宇宙旅行プロジェクト
チーム名:岩谷技研
国:日本
概要:スペースバルーン打ち上げによるコストを抑えた宇宙旅行
No3
テーマ:衛星データを活用したリスクマネジメントサービス
チーム名:アダルナアエロスペース
国:フィリピン
概要:衛星データを活用して、人の命を助ける行動につながる情報提供を目的にしたサービス
No4
テーマ:宇宙工場による高付加価値材料の製造サービス
チーム名:Work Dock Inc.
国:日本
概要:小型衛星を使い、無重力で作りやすくなるモノを製造する
No5
テーマ:求める地下水はココだ!
チーム名:長野 龍平 氏
国:日本
概要:衛星データと、滞留時間を使い、水不足を解消するサービス
No6
テーマ:Satellite Re-use Market
チーム名:Opportunity
国:日本
概要:中古衛星取引プラットフォームで、衛星の中古市場を活性化
No7
テーマ:美肌ウェルネスツーリズム
チーム名:Be-SMAC
国:日本
概要:衛星データと美容・地域の科学的データを組合せた、美容や健康の医意識が高まるツーリズムの提供
No8
テーマ:デザイナーソイルを利用した宇宙農業ビジネス「宙農」
チーム名:TOWING.
国:日本
概要:人工土壌栽培で現地調達・現地生産を可能にする宇宙農業の仕組みを提供
No9
テーマ:新興国の都市計画を支援するアルゴリズムプラットフォームの創出
チーム名:AI.Space
国:タイ
概要:AIと位置情報を使って、全体論的な交通整備を実現するサービス
No10
テーマ:小型衛星環境試験場のシェアリングサービス
チーム名:SEESE from ABLab
国:日本
概要:環境試験のコスト短縮を実現する宇宙業界のシェアリングエコノミー
No11
テーマ:Green fuel for propulsion of spacecraft, to produce oxygen, water and heat on other planet.
チーム名:Manastu Space
国:インド
概要:衛星向けに安く安全なエンジン、燃料を開発。衛星向けの燃料補給所なども提供していく
No12
テーマ:「あしらせ」 みちびきを活用した視覚障がい者向け歩行支援センスウェア
チーム名:SensinGood Lab.
国:日本
概要:自動運転技術と位置情報などを活用し、靴の中に仮想点字ブロックをつくるサービス
審査結果発表・授与式
それぞれのチームで、分野も異なり、ビジネスとしてのステージも違うため、大変難しい選考になったようです。
審査の結果、今回の最優秀賞は、SensinGood Lab.の「あしらせ」 みちびきを活用した視覚障がい者向け歩行支援センスウェアとなりました。
視覚障害者の方の生の声から出てきた、同じ場所しか行動できない、外出時に人に話しかけられない、道路を歩いていて危険な思いをしたなどの課題に対して、解決策を生み出すアイデアです。
靴の中に仮想的に点字ブロックをつくるサービスで、靴を履いて、目的地をスマホなどで指定するだけで、靴の中で方向を支持してくれます。
視覚障碍者にとっては日常も大変で様々な制約があります。そこに、みちびきの位置情報と、自動運転などの技術も活用し、今まで行けなかった所へ行けるようになるなどを実現していきます。
将来的には、あしらせとウォーキングヘルスケアを組み合わせるなどで、健康やダイエットなど他の産業展開も視野に入れています。
また、お店、駅など屋内での利用も、ビーコンなどほかのシステムも利用して実現していきたいとしています。
まとめ
今回最終選抜に残った12チームすべてがとても魅力的なアイデアを発表されていました。純粋に宇宙の技術を使ったものから、他の技術などと組み合わせての利用など、様々な活用方法が見られました。
どのチームも、今ある課題に対して新しいマーケットを生み出せるサービスで、とても興味深く、宇宙ビジネスの大きな可能性も垣間見える有意義な選抜会でした。