非宇宙企業のための宇宙ビジネス入門セミナー
『宇宙ビジネス第三の波』(日刊工業新聞社)を拝読し、著者の齊田興哉氏に関心を持っていたところ、セミナーの開催を知りました。講師の齊田氏は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)で人工衛星の開発プロジェクトに従事していた経験から、宇宙ビジネス全般を熟知しているコンサルタントです。
セミナーは、下記4つの視点から説明されました。
①日本と世界の宇宙産業
②Old Spaceの宇宙ビジネス
③New Spaceの宇宙ビジネス
④宇宙ビジネスの事業構造の再整理とそこから見る参入の考え方
①日本と世界の宇宙産業
米国や欧州は需要の約半分が官需となっているが、日本はその9割弱を官需が占めており、極めて官需依存の強い構造となっていると懸念しておりました。そのため、日本の課題として、政府が保護する意識が強く、宇宙産業全体が閉鎖的になっています。業界の活性化のためにも、エンジニア出身の経営層だけでなく、マーケティングや企画の得意な経営層も必要不可欠かと思います。
②Old Spaceの宇宙ビジネス
ロケットロンチビジネス,衛星製造ビジネス,衛星データビジネス,宇宙機器ビジネスをピクト図を用いて可視化して説明。Old Spaceの時代は、政府主導で大型衛星や大型ロケットが中心だったため、歴史ある大手企業が主に参画しております。
③New Spaceの宇宙ビジネス
小型衛星産業,小型ロケット産業,宇宙利用産業等が中心になります。その中でも、特筆すべき会社として、Space Flight社は、小型衛星を活用して大型衛星に対する支援ビジネスを展開しており、Rocket Lab社は3Dプリンターでロケットエンジンを開発しています。斬新なアイデアで挑戦する世界の起業家には見習うべき点が多いです。
④宇宙ビジネスの事業構造の再整理とそこから見る参入の考え方
アンゾフの成長市場マトリクスの図表などを使用して、コンサルティングの立場で宇宙ビジネスの発掘、参入、採算性などを解説。
まとめ
最後の留意点として、「宇宙ビジネスは、人工衛星、ロケット等のイメージに固執せず、宇宙に関わること全てが宇宙ビジネスであるというように幅広く柔軟な視点で検討すること」という言葉が業界の多様性を生み出すことになりそうです。
今回のセミナーと『宇宙ビジネス第三の波』(日刊工業新聞社)を併用すると、宇宙ビジネスの全体像が分かり、効果は抜群のように感じます。