SPACETIDE2019「加速する宇宙ビジネス、その構想がカタチになる。」の感想
7月9日に虎ノ門で行われたSPACETIDEというカンファレンスに参加してきました。SPACETIDEは、一般社団法人SPACETIDEが主催する宇宙ビジネスカンファレンスです。民間が開催する企業だけでなく政府や研究者など業種や立場など関係なく宇宙ビジネスにかかわる人たちが集まります。
さらに、日本だけでなく世界中から参加者が来るので、まさに日本最大級の宇宙ビジネスのイベントです。2018年の開催では、なんと約600名の方が参加しています。
開催の目的としては、「宇宙ビジネスの認知度や発信力を高めて、日本だけでなく世界中での宇宙ビジネスの発展」を目指しています。今回のSPACETIDEは「加速する宇宙ビジネス、その構想がカタチになる」をテーマに各分野での第一線を走る方々のパネルディスカッションがメインに行われました。丸一日と長いカンファレンスでしたので、主なパネルディスカッションなどに絞ってご紹介させていただきます。
■開催概要
日時:7月9日(火)9:15~19:30
場所:虎ノ門ヒルズフォーラム5F
参加費
カンファレンス(一 般):6,000円
カンファレンス(学 生):1,000円
懇親会:6,000円
主催:一般社団法人SPACETIDE
オープニング SPACETIDE2019の役割
オープニングではSPACETIDE理事の石田氏が、今年の開催に対する想いと役割について話しました。
1969年7月にアポロが月に行ってから50年経った今、宇宙ビジネスでは革命と言っていいほど、大きな変化が起きています。世界的にみても、いままで宇宙ビジネスに関わってきた人だけでなく、違う分野の人も宇宙ビジネスに参入してきており、今後世界の経済をけん引していく一大産業に発展すると予想されています。きっかけや背景として、おおきく下記4つの要因を上げています。
・技術の進歩(デジタル化、IoT、AIなど)
・法律の整備・改正(宇宙関連の法律ができるなど)
・資金が民間に流れていること(政府の支援、投資家など)
・国や政府主導から民間主導に
そこで石田氏は、現時点でのキーワードとして3つあげてまとめています。
1:リアリティ(月や火星移住、宇宙旅行など、今まで夢物語とされてきた構想がかたちになりはじめている)
2:世界(世界で62の国が宇宙機関を保有している。また、国が民間に投資をしている国が多く、世界的な動きになっている)
3:アジア(特にアジア太平洋地域では次の成長エンジンに、間違いなくなる)
日本でも世界と同じことが起きています。JAXAを主体とした政府の支援も手厚いものがあります。また、リモセン法、宇宙産業ビジョンなど政府も着実に具体的な施策をすすめています。こうした支援を受けていろんな業界で民間企業のスタートアップはもちろん、地方公共団体の参入も増えています。
宇宙ビジネスの成長をさらに加速させるために、「加速する宇宙ビジネス、その構想がカタチになる」をテーマに2019年のSPACETIDEで世界と日本をつなげる役割を担っていきたいとしています。
ショートスピーチ
ショートスピーチでは、下記2名の方が話をされました。
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 事務局長 松尾 剛彦 氏
内閣府としても、国際社会のなかで宇宙ビジネスの分野においても貢献していきたいと考えている。ソサエティ5.0の実現によって人々の生活がより良くなることを期待しているとしています。衛星の小型化でデータ量が飛躍的に増大したことや、AIなどの最新技術により農業や漁業分野を筆頭に新しい価値が生まれてきています。そうして宇宙産業が大きく変革していく状況のなか、そのなかで、政府としての役割を下記のようにまとめています。
・国も本気で取り組む
宇宙関連2法(宇宙活動法、リモセン法)を制定し、これをベースに活動を広めていく
スタートアップから事業化まで、様々な支援を推進
JAXAのもつデータやノウハウを民間にも共有
・世界の中での日本の立場と役割
日本の強みとして、技術力を生かして世界の中で日本の立場を強めていく
(JAXAとトヨタのローバー、ベンチャーとの取り組みなど)
Director of Astronaut and Orbital Sales Blue Origin, LLC Ariane Cornell 氏
ブルーオリジンは、宇宙はみんなのものでそれをみんなで生かして将来を考えていくことを大事にしています。それをベースに現在行っている主なプロジェクトとして、下記2つについて紹介しています。
・ニューシェパード
繰り返し打ち上げることができる再使用型のロケット。有人飛行等までを視野に入れている。現在は効果的効率的に飛ばせることを目指して実験を繰り返している。
また、新たにニューグレンという大型ロケットも開発中。
・ブルームーン
月面着陸船「ブルー・ムーン(Blue Moon)」のプロジェクトが進行していることについて話しました。
2024年にも宇宙飛行士の輸送に利用されることや大量のペイロードを運搬できるようになることなど多くの可能性を示しています。
この点においてグローバルな企業と協力して進めていきたいとしています。
PANEL1 各国の宇宙産業エコシステム形成
世界中で盛り上がりをみせている宇宙ビジネスが、なぜ盛り上がっているのか、各国は宇宙産業をどうみているのかについてのパネルディスカッションです。下記メンバーにて行われました。
・宇宙航空研究開発機構 (JAXA)理事 中村 雅人 氏
・NASA Asia Representative Garvey McIntosh 氏
・Singapore Space and Technology Association Founder and President Jonathan Hung 氏
・National SPACE Development Program, Philippines, Program Leader Rogel Mari Sese 氏
・SPACETIDE 代表理事兼CEO 石田 真康 氏(モデレーター)
■主な質問
Q:なぜいま月を目指すことが盛り上がっているのか?
A:Garvey 氏
目標は持続可能なプレゼンスを月面に持つこと。太陽系に広がっていくために、最終的には火星に行くこと。次のステップは何がいいのかを議論したときに、マイルストーンとして月面が自然と必要になった。
Q:JAXAの立場から見て世界的に月やその先を目指していく活動をするのをどう見ているか。
A:中村氏
熱意や気持ちが基礎にあるように感じている。熱意だけではできなかったものが、できるようになってきたのは技術の進歩によるもの。
民間と国が一緒になってやっていける環境になってきているのでそれも楽しみ。
Q:シンガポールの衛星プログラム人材育成に取り組んでいて、シンガポールの盛り上がりの背景は何だと感じている?
A:Jonathan 氏
シンガポールは、衛星技術開発にかなりフォーカスしている。小さい国だからフォーカスしないと戦えないので戦える分野を模索していた。そのなかで小型衛星が商用化、応用できる可能性が一番高かった。宇宙探査にも行きたいが、リソースが限られているため注意深くできることを選んでいる。
Q:フィリピン政府が宇宙を成長産業としてみているのはなぜ?
A:Rogel 氏
宇宙技術を活用して自国社会に利用することを一番に考えている。フィリピンの台風や地震対策などに活用したい。単なる技術進歩でなく、自国の安全と産業に活用したい。
Q:なぜいろんな企業が宇宙に興味をもって、やりたいと思っているのか?
A:中村氏
新たな市場をつくることでブルーオーシャンを目指していると感じている。宇宙をベースに防災食を作りたいという企業など、いままで無かったものを作ろうとしている。宇宙が伸びていくという期待と想いをもとに、自分たちから動いているような状態。
Q:NASAとしては商業パートナーについてどう思っているか?
A:Garvey 氏
民間が持っているサービスや人材を活用していきたいと思っている。アメリカだけでなく日本やカナダ、EUなど、それぞれの長けている部分を借りていきたい。
Q:持続可能なシステムをつくるためになにが必要か?
A:Jonathan 氏
シンガポールは宇宙機関がない。ただ、産業界には製造能力という強い基盤があった。その産業界の力と人材があったから宇宙という分野を選んで投資している。伝統的な企業と新しい企業がきちんと連携していくことが大事。お互いに学びあうことを前提に前に進んでいくことが必要。
まとめ
ディスカッション全体をとおして、どの国でも、国と商業プレイヤーとの連携を大事なことだととらえていることが分かる。国と民間がお互いのできることや役割を意識し、強い協力関係が作れた国が今後の宇宙ビジネスで主導権を持って行くことになるのかもしれないです。
PANEL2 打ち上げサービスの進化と宇宙ビジネスへのインパクト
小型ロケットや再利用ロケットなどが現実に打ち上げられるようになり、今までの大型ロケットを打ち上げることから変化が起きているのが打ち上げ事業です。そのなかで、事業者がどのようなことを考えサービスを提供しているのかテーマにしたディスカッションです。下記メンバーで行われました。
・スペースワン株式会社 取締役 兼 企画・営業・渉外本部本部長 阿部 耕三 氏
・三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 副事業部長 博士(工学)小笠原 宏 氏
・Arianespace Vice President, Sales Florent d’Heilly 氏
・Virgin Orbit Senior Director of Strategy and Customer Experience Monica Jan 氏
・SPACETIDE 理事 / 西村あさひ法律事務所 パートナー 水島 淳 氏(モデレーター)
■主な質問
Q:打ち上げサービスの課題はコストなどいろんなポイントがあるが、今後何が差別化要因になっていくか?
A:Florent d’Heilly 氏
将来どうなるかわからないので、いろんなローンチビークルを備えることが大事と考えている。
A:Monica 氏
柔軟性とモビリティが大事になってくると考えている。
A:小笠原 氏
信頼性が大事。頼まれたら失敗しないこと。コストなどはその次。お客さまの目的は、打ち上げることではなくビジネスをすることなので、失敗しないこととスケジュールを守ることを大事にしている。
A:阿部 氏
柔軟性がまずは大事。お客さまもビジネスも多様化していくのであわせられないとついていけない。次に信頼性、お客さまは多額の投資もするしその後の事業があるので会社としての信頼性と継続性も大事だと考える。
Q:これからバリューチェーンがどう変わっていくと考えているか?
A:阿部 氏
各社、自分たちの事業立上げ経緯や状況などをもとに発展していくので、それぞれの会社での成長パターンがある。そのパターンで求められることを行っていくことで各社残っていくのでは。
A:小笠原 氏
大型中型では打ち上げ市場は厳しい状況。そのなかでは、全体の効率化と柔軟性が重要になってくると思っている。各社どう判断するかは個別の問題だが、不足部分を補うように別の会社と連携が広がっていくのでは。
A:Florent d’Heilly 氏
顧客のニーズに答えていくことが大事。「これだけしかできない」や「弊社のメニューはこれです」ではなく、相手の求めることをする柔軟性が必要。
A:Monica 氏
いろんなオプションを輸送サービスとして必要になっていく。そうした時に、顧客のスケジュール管理も必要になるので自社内ですべて行える垂直統合も重要になる。
まとめ
打ち上げサービスは、小型衛星が増えてきたことや飛行機からの打ち上げなど、打ち上げ方法も多様化してきている。あわせて衛星を打ち上げる目的なども多様化しているのは間違いない。そこでサービスを利用する事業者の希望に応えられる柔軟性が重要になってくると各社見ている。垂直統合か水平統合かなどは各社の特性などによるのかもしれないが、顧客のニーズを注視していく必要がありそうです。
PANEL3 軌道上サービスの実現性と市場性
衛星の打上げが活発になることなどによって、宇宙産業で重要になってきている「軌道上サービス」です。主にデブリ除去や燃料補給などがありますが、こうした軌道上サービスで今後何が重要になっていくかを下記メンバーでディスカッションしました。
・株式会社ALE COO 藤田 智明 氏
・Space BD株式会社 代表取締役社長 永崎 将利 氏
・株式会社アストロスケールホールディングス グループCOO クリス・ブラッカビー 氏
・Secure World Foundation Director of Private Sector Programs Ian Christensen 氏
・TMI総合法律事務所 新谷 美保子 氏
まとめ
軌道上サービスを大きく分けると、軌道上サービスと低軌道の商用利用の2つに分けられる。
・軌道上サービス(デブリ除去、燃料補給、デオービット、リモデリングなど)
・地球低軌道の商用利用(ISSでの商業活動、無重力区間の利活用、有人宇宙活動の事業化)
デブリ除去やISSの商業活用など、宇宙が拡大していく中で、宇宙を裏で支える軌道上サービスは無くてはならないものといっていいほど重要です。しかし、まだ市場が確立していないので事業者同士で食い合うピザが無い状態です。今後の市場の発展には同じ方向を向いて知恵をだして協力していくことがもっとも重要な段階。
デブリ除去などの軌道上サービス以外に、今はまだ具体化していないが一般の人に向けたサービスも考えられる。宇宙というキーワードで人々が想起するのは好奇心がベースにあることが多い。一般の人につたえるのにエンタメ性などのアイデアが重要になる。
PANEL4 50週年 勢いを増す月ビジネス
人類初の月面歩行から50年。アポロ計画以降あまり前進しなかった月面探査がいま急展開を迎えています。2020年代の宇宙ビジネスは月が中心になるとも言われています。なぜいま月が注目されているのかその背景などについて下記のメンバーでディスカッションを行いました。
・株式会社ispace 代表取締役 袴田 武史 氏
・ANA ホールディングス株式会社 アバター準備室 ディレクター 深堀 昂 氏
・宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 宇宙飛行士 / 理事 (有人宇宙技術・宇宙探査担当) 若田 光一 氏
・Moon Village Board of Directors Member and Moon Market Development Manager Oleg Ventskovsky 氏
・SPACETIDE 理事兼COO 佐藤 将史 氏
主な質問
Q:月のブームが来ているが、どう見ているか?
A:袴田 氏
月はロジカルな目標。火星に行くにも中継地として必要。水があることも大きなポイント。今後大きな産業基盤にもなっていくことも感じている。
A:若田 氏
今までは事業性や興味をもてる技術もなかった。月周辺の衛星から月のデータが得られてきて事業性も出てきたことがあげられるかも。宇宙を民間が利用するという実績も現実味が出てきて、機運が高まってきているのかな。
Q:なぜ火星に行くのか?
A:若田 氏
究極的には人類としての存続、生存が維持できるために重要な拠点になりうるだろうということが考えられている。その流れのなかで、月と火星がある。人類の持続性。
Qだれが、どのプロジェクトをリードしていくのか?
A:Oleg 氏
将来の要素は月のマーケットを開拓すること。これをムーンビレッジがやろうとしている。ゴールドラッシュと同じように、ゴールドラッシュを中心にいろんなサービスができていく現象が、月で起きていく。月の場合は、ものを運べないとなにもできないので輸送がまずは大事。その後に住むというための産業が必要になっていく。
Q:輸送産業が月面のキーになる?
A:袴田 氏
輸送が重要なのは間違いない。何かを作るためにもいろんなものを運んでいく必要がある。コストもかかるので現地でいろんなものをつくる技術が次に必要になる。ただ、自給自足する技術ができても最初は地球から物資を運ぶことになる。
Q:一般の企業からすると月でのビジネスは現実的じゃない遠い存在なのか?。ブームにのっかていくのか、自分でリードしていくのか、どうとらえているか。
A:深堀 氏
民間ナレッジはどんどん出していく。民間企業はサスティナブルは重要、その点でもプロジェクトのリーダーは民間が行うのがいいと思う。また、民間は短期的なスパンで収益性なども考慮して計画するしかない。やろうと思った時にやりやすいサポートを国などがしてくれるようであるといい。
Q:JAXA(国)として民間をどうサポートしていくつもりか?
A:若田 氏
法的な整備は民間にできないことなので、まずはそこが必要。前提として、多くの企業が活動できるサポート役である必要がある。事業性をみつけることや必要な技術を必要な時に提供できるような体制を整える。
まとめ
月のビジネスは、今後人類がもっと広い宇宙で活動していくための最初のステップとして重要。火星や木星などや他の銀河系へ行くことを実現するための基礎となるのが月での移住や資源などの技術。こんごの宇宙開発がどのくらいのスピードで進展していくかもこの月面ビジネスにかかっているのかもしれないです。
PANEL5 5G時代を見据えた衛星通信の将来像
衛星事業においては、小型衛星が増えコンステレーションなどが主流になってきています。そうしたなか、地上で生活する人々にとっては5Gの実用化などの影響が出てきています。確実に宇宙ビジネスの進歩は実際の生活にも変化をもたらしていますが、今後の衛星通信の産業はどうなっていくのかを下記メンバーが話しました。
・スカパーJSAT株式会社 取締役 執行役員専務/宇宙事業部門長 大松澤 清博 氏
・ソフトバンク株式会社 グローバル事業戦略本部 衛星事業推進部 部長 砂川 雅彦 氏
・東京大学大学院 工学系研究科 教授 中須賀 真一 氏
・三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 メカトロニクス技術部 主管技師長 吉河 章二 氏
・SPACETIDE 理事 / 宇宙エバンジェリスト 青木 英剛 氏(モデレーター)
主な質問
Q:通信衛星には、低軌道、中期同、静止軌道のマーケットがある。そのあたりの共存についてどうとらえているか?
A:それぞれの良し悪しと役割がある。静止は大きな範囲を見れる。低軌道は少ない衛星ではなにもできないので600機など多くの数が必要。その場合600機を打上げ維持しないといけないのでコストと手間は必要。途中で減らしたら穴が開いてサービスが提供できなくなるなどのリスクもある。それぞれのメリットデメリットを補完しあうことで、共存していくのではないか。それがサービスの連続性などユーザーのメリットにもなる。
Q:衛星の数が増えることでだれが勝つのか?
A:通信の容量はまだまだ必要なので、もう少しの間はみんなが勝つ市場になるのでは。ただ、地上がどんどん進んだ時に、衛星は何ができるのかを考えていかないといけないかも。
Q:5Gと衛星の関わり
A:自動運転、命に係わるテクノロジーなどもたらすものは大きい。しかし、主に人の集まる都市部から5Gのサービスは開始されていく。5Gに人々が慣れ親しんだときに、5G圏外に行ったときにどう感じるかは明白。その圏外を衛星が対応できるのではないか。
Q:今後どういった衛星技術などが求められていくのか?
A:数も必要で、変わっていくものに対応できないといけなくなってくる。Digitalやアンテナ技術がポイントで、必要なところにあてていくことなども可能にしていく。
A:衛星の寿命が15年と言われている。でも、技術や求められるサービスなどが15年変わらないはずがない。そうしたニーズの変化に対応できるようにしていかないといけない。専門的な技術だけでなく、他の製造業のようにモノづくりや生産の技術が重要になってくる。
Q:ぶっちゃけ衛星通信としては、どのマーケットがキラーコンテンツになると考えているのか?
A:IOTと相性がいいのでは。データを集めて分析して活用していくのが本筋。そのためのデータ集めに衛星が必要なので、衛星通信はきわめて重要なインフラ。
A:1つはネットワークをささえるブロードバンド。2つめは、衛星ならではの高いセキュリティ(サイバーとか)。3つめは災害対策。
A:通信は光通信が重要。地上の写真を撮って、すぐに送れることは重要。
まとめ
通信衛星の課題としては、モノづくりとしての技術、インフラが無いところへの展開、人が立ち入れない場所(海洋など)の通信へどう対応していくのかがポイントになりそうです。
PANEL6 衛星データビジネスの競争環境と戦い方
衛星データの活用ということがよく言われるようになり、テルースなどのサービスも始まっている衛星データ。政府衛星だけでなく民間のリモセン衛星の数なども増えてきています。衛星データの価格も下がってきたことで使われることも増えてきたように思いますが、エンドユーザーにとってどんな価値があるのでしょうか。また事業者は今後の展開をどうみているのかについて下記メンバーで話しました。
・Amazon Web Services Open Geospatial Data Lead Joe Flasher 氏
・株式会社Synspective 代表取締役 新井 元行 氏
・Sylvain Calisti Product Manager Kayrros 氏
・株式会社アクセルスペース 代表取締役 中村 友哉 氏
・慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 白坂 成功 氏(モデレーター)
主な質問
Q:現在の競争環境をどうとらえているか?
A:何と競争しているかがポイント。公的分野には任務があるので正確なものを提供するのが大事。まだ市場を作る段階で、お客さまや利益を食い合う競合がいるという環境ではないと感じている。衛星の技術と一緒に、お客さまのドメインの情報を持っていることが大事。
Q:今後の衛星データビジネスで事業者にとって何が必要か。
A:同じ作業をお客さんがしないように、扱いやすいようにしていくことがもっと普及させるには必要。異業種のドメインナレッジをかんがえること。衛星データはあくまでツール、異業種とのコラボでニーズを見つけていき、そのソリューションを提案できるスキルが必要。
まとめ
衛星データは、まだまだ使ってもらえていない現状があると思います。使いやすさという点では、ユーザーフレンドリーなインターフェイスを提供するのも供給側の役割ではないかと思います。また、相手からニーズを言ってもらうだけではなく、自分たちから見つけていく働きかけも、利用を促進していくには重要なポイントではないでしょうか。
一日のまとめ
今回のSPACETIDEでは、メインホール以外に隣のホールでもパネルディスカッションが行われていました。この記事では内容の半分もご紹介できなかったですが、ほんとうに日本と世界の宇宙ビジネスのいまを知ることができる場所だったと思います。
技術、情報、事業者、人脈などビジネスで重要なものがこの会場に集中します。かなり情報量が多いので、すでに宇宙ビジネスに取り組んでいる企業にもこれから参入しようとしている企業にとっても、必要な情報を得られるいい機会になるカンファレンスです。
年一回の開催ですが、丸一日とは行かなくとも気になるパネルディスカッションだけでも参加されると有益な情報の入手や人脈を作れるのではないかと思います。
来年はいまと比べてかなりの進展が予想される宇宙ビジネスです。興味のある方は早めに来年のSPACETIDE開催をチェックすることをおすすめします。