編集長の呟き ~35TH SPACE SYMPOSIUMに立ち寄り~

2019年4月8日から11日にアメリカのコロラドスプリングスで35TH SPACE SYMPOSIUMが開催されました。SPACE SYMPOSIUMは、アメリカ最大規模の宇宙関連シンポジウムで、科学・民生・商用・軍事の各分野を網羅し、政府高官、アメリカ宇宙関連企業トップが参加するイベントです。


 
アメリカの宇宙関連シンポジウムに私は何度か参加しておりますが、入場料は一日あたり数万円が相場のように感じます。登壇者の数は一日何十人もおりますので、それなりの費用をかけていますが、日本と比較して知識とネットワーキングに対する相対的価値が高いのだと思います。
 

 
今回のシンポジウムにも世界中から1万人以上の参加者が集まったようです。ここまで大きなシンポジウムは珍しいのですが、世界の宇宙関連最新情報が入りますので、当然かもしれません。アメリカ出張の際に少し立ち寄りましたので、簡潔に感想をお伝えします。

■開催初日のイベント


 
開催初日のA Space Foundation EventであるTECH TRACKに私は参加してみました。宇宙技術開発における政府および業界のリーダーから下記などのテーマ毎に20分の発表がありました。

「Earth in High Definition」
「The Data Exploitation(DEX) Platform」
「Realtime Ground Measurement of Atmospheric Parameters Critical to Free Space Optical Communication」
「Navigating the Legal Challenges and Opportunities of Space Date Businesses」


 
特に印象に残った講演は、ベンチャー企業Relativity Space社の方が「成功するために4つの大切なことは、Time(Faster Production Time),Cost(Fewer Parts ),Reliability(Radically Simple Supply Chain),Flexibility(Scalable Autonomous Factory)です。」と述べられ、具体的には3Dプリンタ等を使用して自動化を進め、商品開発期間を従来の1割から2割(例 18カ月⇒2カ月,48カ月⇒6ヶ月等)程に縮めてしまっている点です。

また、Mckinsey社の方が「ベンチャーキャピタルの投資は1980年から毎年換算だと21%の伸びに対して、2009年から宇宙技術関連の投資は毎年換算だと47%の伸びとなっている。」という発表は業界の現状を知る意味で参考になりました。ここ10年の盛り上がりとベンチャー企業を支えるNASAの役割も非常に大きいようです。

■展示会について

展示会も一通り見学したのですが、かなりの盛況でした。例年、欧米の企業を中心に200社以上が出展しています。
 

 
日本はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)が共同で日本パビリオンとして出展していました。その中に出展企業として、ベンチャー企業から大手企業まで16社程ありました。

■まとめ

世界には宇宙関連シンポジウムがたくさんありますが、それぞれ特徴があります。こまめに参加して自分のお気に入りを探し出すのが良いと思います。海外のシンポジウムに参加してすべてを理解するのは難しいので、捨てる覚悟も必要です。