S-NET 宇宙利用シンポジウム ~誰もが使える衛星データでこれまでにない価値を~

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2019.3.26セミナー

S-NET 宇宙利用シンポジウム ~誰もが使える衛星データでこれまでにない価値を~

2019年3月25日に、「S-NET宇宙利用シンポジウム~誰もが使える衛星データでこれまでにない価値を~」が開催されました。S-NET(スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク)は、「宇宙」をキーワードにした新しいビジネスを作り出そうとする企業や個人の支援を目的に2016年に内閣府が立ち上げました。2017年より経済産業省も参加し、共同で運営しており、日本各地でセミナーを開催して、宇宙ビジネスの拡大に取り組んできました。

今回のシンポジウムでは、たくさんの事例をまじえて下記のようなことが紹介されました。
・S-NETを通した政府の取組事例や今後の方向性
・地方自治体と民間企業がどんな取り組みをしているか

この一日で日本の宇宙ビジネスの現状が分かると言っても良いくらい、非常に内容の濃いシンポジウムとなりました。それぞれのポイントをご紹介していきますので、宇宙ビジネスを知りたい方や参入しようとしている企業の方はご参考にしてください。

■開催概要
日 時:2019年3月25日(月) 13:30~17:30 (開場13:00~)
会 場:日本橋高島屋三井ビルディング 日本橋ホール
参加費:無料(事前登録制)
定 員:150名
主 催:内閣府宇宙開発戦略推進事務局、経済産業省

■プログラム
13:30~13:35 <開会・挨拶 内閣府宇宙開発戦略推進事務局>
13:35~14:35 <準天頂衛星パネルディスカッション>
テーマ:「みちびきを活用した位置情報サービスの可能性」
14:45~15:00 <宇宙産業政策の現状と今後について>(経済産業省)
15:00~16:00 <S-NET宇宙ビジネス推進自治体・地域における取組>
「北海道」 
北海道 科学技術振興室 室長 長谷川 浩幸
スペースアグリ株式会社 代表取締役 瀬下 隆
「茨城県」
茨城県 科学技術振興課 課長 伊佐間 久
株式会社ワープスペース 取締役 最高経営責任者 常間地 悟
「福井県」
福井県 新産業創出課 参事 堤 宗和
福井県民衛星技術組合 理事長 進藤 哲次
「山口県」
山口県 新産業振興課 課長 伊田 敏章
宇部興産コンサルタント株式会社 企画室室長代理 弘中 淳一

16:00~16:15 <Tellus Xdata alliance>
「AI活用ビジネスの現状とTellusへの期待」
株式会社Ridge-i 代表取締役社長 柳原 尚史

16:25~16:40 <農業分野における宇宙データ利用の展望>
北海道大学大学院農学研究院 教授 野口 伸

16:40~16:55 <内閣府モデル実証事業2018>
「衛星を利用した定置網漁業向け情報サービス」
日東製網株式会社 係長 細川 貴志

16:55~17:10 <S-booster2018審査員特別賞>
「衛星データを活用した栽培適地選択と農地評価」
天地人 代表 繁田 亮

17:10~17:25 <宇宙ビジネスに向けた共創活動について>
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA) 新事業促進部 部長 岩本 裕之

17:30 <閉会>
17:30~18:00 <交流会(名刺交換会)>

開会・挨拶 S-NETの概要と今後の活動・シンポジウムの目的


 
内閣府特命担当大臣の平井卓也氏がS-NETの概要と今後の活動、今回のシンポジウムの目的について説明されました。
・S-NETについて
S-NETは宇宙をキーワードにした組織として、宇宙ビジネスに関する相談窓口やビジネス支援・促進をしている組織です。いままでの宇宙は、一般の人にとっては日々の生活とは大きくかけ離れたものでしたが、いまでは日々の生活と近いものになってきています。人工衛星によって、Googlemapや天気予報など、すでに私たちの生活の一部になくてはならないものになっているものも多いです。

そんななか、2018年11月に準天頂測位衛星「みちびき」が4機体制でサービスを開始したり、衛星の小型化などによって多くの人工衛星を協調して動作させるシステムが実現したことなどで、衛星データの質が向上し、量が格段に増えてきています。さらに、AIとも組み合わさることで、これまでにないサービスを生み出す可能性が高まってきているのが現状です。S-NETでは、下記のような取り組みを柱として、衛星データがより広く使われることで、日々の生活の利便性向上を目指しています。
・S-Booster(宇宙ビジネス アイデアコンテスト)
・S-Matching(宇宙ビジネス 投資マッチングプラットフォーム)
・テルース(衛星データプラットフォーム)

・シンポジウムの目的
今回のシンポジウムでは、衛星データの先進的な利用事例などを紹介していくことで、衛星データをさらに身近に感じてもらうことで、より様々なアイデアを生み出し今後の発展に繋がるようにしたいとしています。

準天頂衛星パネルディスカッション みちびきを活用した位置情報サービスの可能性

2018年11月から4機体制でサービスを開始した準天頂衛星みちびき。ニュースにも取り上げられていたので、一般の方でも知っている人は多いのではないでしょうか。
2023年を目途に衛星7機体制にする予定などもあり、今後の宇宙ビジネスに大きな影響を与えることは確実です。パネルディスカッションでは、「みちびき」を活用してどんなサービスが実現できるのかなどをディスカッションしました。

■準天頂衛星システムへの期待

はじめに、キーノートスピーチとして一般財団法人 日本情報経済社会推進協会 常務理事の坂下哲也氏が、ディスカッションの前に準天頂衛星みちびきの概要について説明されました。

・みちびきの概要
みちびきは、日本の天頂付近を通る軌道を飛行することから、準天頂衛星と呼ばれています。日本上空の準天頂軌道に測位衛星4機を投入して、24時間常に1機が上空にいるようになっています。これによって、一例として下記のようなことが実現できるとしています。

1:ブロックチェーンとスマートコントラクト
2:位置情報管理システムの推進(屋外での)

・高度測位衛星への期待
現在のみちびきは、4つの衛星からの電波を受信して、受信機と⼈⼯衛星との距離を測定、この測距データをもとに位置と時刻を計算しています。
みちびきが4機体制になったことで、時刻情報と位置情報、つまり「いつ」「どこ」という情報を以前よりかなり正確に取得できるようになってきます。
この「いつ」「どこ」を活用したサービスを発展させていくことが今後の宇宙ビジネスを拡大に重要になってきます。
測位衛星が提供する「位置情報、時間情報」は、下記のような経済を支えています。

タイプⅠ:不動産などの建築物の様に空間上に固定され、移動不可能なもの(建設、物流など)
タイプⅡ:頻繁に移動させる事を前提としていない製品。耐⽤年数は短いものの、空間的に固定される不動産的性格強いもの(家具、冷蔵庫など)
タイプⅢ:⼈間が移動中に利⽤することを前提として作られた製品。(携帯電話、プレイヤー、ゲーム機器、モバイルPCなど)
タイプⅣ:移動そのものを⽬的とした財(⾃動⾞、⾶⾏機など)

いまはタイプ1と4が発展しているが、経済として発展するにはタイプ2と3の発展が必要になってきます。そのためには、政府と民間の力を合わせていくことと、みちびきの7機体制が重要な課題となります。

■パネルディスカッション みちびきを利用した位置情報サービスの可能性

パネルディスカッションは宇宙ビジネスの現場で活躍する下記の面々で行われました。みちびきを活用した実例や今後の展望などを詳しくご紹介します。

・モデレーター 
株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 佐藤 将史氏

・パネリスト
株式会社フォルテ 代表取締役社長 葛西 純 氏
株式会社Hacobu 代表取締役社長 CEO 佐々木 太郎 氏
カレンシーポート株式会社 代表取締役 CEO 杉井 靖典 氏
グリー株式会社 開発本部 XR事業開発部 部長 原田 考多 氏

Q:宇宙ビジネスの中心にいる方にとって、みちびきはどう見えているか?
A:葛西氏
一般の方にもみちびきという言葉は知られてきている。琵琶湖でのサイクリング安全管理や、札幌市でのポスティング管理など、実際に衛星を使った実験を一般の方も巻き込んで行っている。今後も、実際に使ってもらい、価値を感じてもらうことが大事。

Q:測位が高精度になっていくことへの期待は?
A:原田氏
私が今居る位置が、正確に特定できることは重要。シューティングゲームで例えると、正確に特定できないと弾が当たったかどうかがずれてしまう。精度が高ければ高いほど、エンターテインメントとしても面白いことができるようになる。

Q:物流業界にとってみちびきはどんな存在?
A:佐々木氏
物流は倉庫の中と、運ぶ世界があり、運ぶ世界の方が測位衛星の需要がある。トラックだけでなく、パレットなどものを入れる箱などが倉庫を出てからどこにあるか分からないことも現在のデメリット。それが分かると、どの倉庫に何があるのかなどが常に管理できるといったことが実現できる。しかし、どの程度のコストで実現していくかも大きな課題。

Q:エンドユーザーへみちびきの利用感を実感してもらうためには?
A:葛西氏
みちびきからのただしい位置情報、時間情報も大事だが、受ける側の制度も課題。地上局の整備や、通信モジュール、ほかの機器との連携でコスト下げたりも実現していく必要がある。また、いろんなサービスが増えることで、事業者も増えてコストもさがってくるはずなので、宇宙ビジネスにより多くの企業に参入してもらえるようするべき。

Q:ブロックチェーンとみちびきはなぜ関連するのか?
A:杉井氏
ブロックチェーンは、あらゆるトランザクションを記録する基盤といえる。ただ、トランザクションは電子署名が必要で、それがないと「誰が」何をしたのかが分からないという事態になる。
「位置」と「時刻」が特定できるようになると、ものに「ID」がつけられるため、「誰が」が判別できるようになる。それができればスマートコントラクトなどが実現でき、あらゆるものにお材府がつけられるようになる。それによって、やりとりによっておこる決済などを自動的に行うことができるようになる。こうした、ものにIDがつくと、世の中をガラッと変えるアイデアが実現するかもしれない。

Q:みちびきを具体的に利用する可能性は?新しいビジネスでみちびきをどう使うのか?
A:葛西氏
一例として、みちびきの位置情報と時間情報にキャリアの通信網が加わると、認知症の方の位置などが分かるようになるかもしれない。みちびきで「これができる」というよりは、事業者の方が、既存のビジネスで欲しい情報を取れるようにすれば新しいイノベーションになる。

A:杉井氏
みちびきデータの正確性には期待している。仮想的な境界線で囲まれたエリア(ジオフェンス)を設定できるようになるので、可能性は広がる。そこに居る人だけに何かを見せる、そこにいる時にだけ、開くアタッシュケースなどもつくれる。自動パーキングシステムやレンタル・シェアリングエコノミー、そこにいくと自動的かぎがあいて、支払いも同時に行えるシステムも作成できるかも。

Q:Hacobuとしては、どんなアプローチでみちびきを活用しようとしている?
A:佐々木氏
いろんな事業者がユーザーに位置情報を提供しているが、事業者が異なるためデータが違いすぎて、まとめて活用できない状況になっている。そこで、業界を横断する位置情報を統合できるプラットフォームを作ろうとしている。
情報プラットフォームはソフトウェアの世界で、ゆっくりやっていたら時代遅れになっていく。小さく作って、使いながら改善していかないと間に合わない。そのため国ではなく、スタートアップ企業として迅速に進めていきたい。

Q:どんなビジネスモデルが社会的に考えらるか?
A:原田氏
デジタル空間の中にビジネス価値が生まれてくる。ARの世界の中に企業が広告を出せるようになったりもする。例として、アイドルが隣に座って写真を撮れるサービスなども可能。しかし、位置がずれてたらうまくいかないので、位置情報の正確さは大事。日本製の正確な測位衛星は世界に対しても大きなポイントになりえるかもしれない。

Q:みちびきを使ったビジネスが社会に浸透していくには何が必要か?
A:杉井氏
ブロックチェーンのようなアイデアは、取引の記録が誰にでも見えるようになることで実現していく。そのためにみちびきの位置、時間情報が活用されていくようになる。存在証明になっていくものが今もあるが、それに対応するものがより安価につかえるようになっていくとより浸透していくのでは。

Q:スマートコントラクトなどは物流では重要になってくる?
A:佐々木氏
IDや電子署名が実現すれば、荷物を出す側と、受け取る側で共有できるようになれば、検品レスや納品書を無くすこともできるようになる。
A:杉井氏
トレーサビリティの観点でも実験をすすめている。

Q:これは言っておきたい!ということはありますか?
A:杉井氏
近い将来すべての取引が変わることになる。

Q:内閣府特命担当大臣 平井氏によるまとめ
A:平井氏
宇宙ビジネスでは、民間や自治体など、いろんなところでいろんな話が進んでおり、それぞれが「世の中変えるぞ」という意気持ちでやっている。ただ、全部合わせてどうかわるかというイメージがないのが現状。未来から逆算して立てられた斬新な目標であるムーンショットが、それぞれの分野で出てくることにも期待したい。

国としては、民間の足を引っ張らない、インフラの整備をいそいでやることが課題。H3ロケット、最後の本人確認インフラとしてマイナンバーを全員に持ってもらうなど国がやらなければいけないこともある。将来はマイナンバーカードやみちびきのサービスを携帯にれてしまうなども可能性としてありえる。いまの日本の宇宙ビジネスは、行政と民間の動きがつながっていることは明確で、最後にしっかり統合できるように官民一体でやっていければと思っている。

宇宙産業政策の現状と今後について

経済産業省 製造産業課 宇宙産業室長 浅井 洋介 氏が宇宙産業の概要を説明しました。また、経産省としては、いままで宇宙を利用していない業界で、あたらしいビジネスがうまれるようにしていくことを目指しているとしています。

・宇宙産業の動向
世界の宇宙産業は順調に伸びており、2017年で約30兆円規模になっている。そのなかでも、地上設備(衛星テレビ、カーナビ)衛星設備などが大きい割合を占めている。次に衛生サービス(通信放送測位リモートセンシング)が大きい。
日本では市場全体で1,2兆円ほどで、それを倍増させたいと政府は考えている。日本国内でも、宇宙産業への敷居が下がってきており、新しいチャレンジやベンチャー企業の参入も増えてきている。

・宇宙産業の目指す方向性
宇宙ビジネスの敷居を下げることで、異業種の多くの人に参入してきて欲しいと考えている。今まではロケットなど宇宙機器産業をメインで行ってきたが、そこだけでは市場が拡大しなくなっている。宇宙利用産業を拡大しないと機器産業もこれ以上は広がっていかない。そのために、テルースの活用や、利用するための整備としてs-boostrなどをS-NETで今後も進めていきたい。

・テルースの今後
データとソフトウェアを無償で利用できるようにして2019年2月にリリースし、2020年度に民営化を目指している。すでに7000人以上登録している。衛星データだけでなく、地上データを活用できるようにしていくことや、AIも使ってブラッシュアップしていく予定。分析をするためのトレーニングイベントなども行い、活用できる人を増やしていくことで普及につなげたい。

・リスクマネー供給
政府として下記のような施策を行っていく。
・s-boostr(アイデアコンテスト 今後はアジアやオセアニアからもアイデアを募集)
・s-マッチング(あらたにビジネスを始めたい方に)
・s-NET(産業分野の垣根をこえた交流支援事業) 
・モノづくり商業サービス補助金

・政府としての想い
新しいプレイヤーが増えることが宇宙が成長していくことに繋がる多くの企業に、宇宙にチャレンジしてほしい。
そのためのツールを提供し続けていきたい。

S-NET宇宙ビジネス推進自治体・地域における取組

国と民間だけでなく、地方自治体でも宇宙ビジネスに取り組みが始まっています。今回は下記4つの自治体の取り組みが紹介されました。

■北海道

北海道では、農業・漁業を中心に政府や民間と協力して宇宙ビジネスに取り組んでいます。
小型ロケットビジネス
大樹町は、宇宙の町として数多くのロケット実験が行われている。
インターステラテクノロジズ株式会社が拠点を置き、民間企業単独では初となる宇宙空間を目指している。
衛星データビジネス
トラクターの自動走行の実現。小麦の生育管理などに取り組んでいる。
衛星データ利用ビジネス創出協議会を設立
・北海道内の企業向けに、衛星データの情報や事例の紹介、研修会など
・実証プロジェクト
・2つのテーマでプロジェクトチーム
(A:輪作の作付け状況を指揮月 B:農作物の育成診断や病害虫の診断)
今後は農業以外でもプロジェクトチームをすすめる予定。

■茨城県

茨城県では、知事主導のもと宇宙ビジネス推進室を立ち上げて、JAXA等と連携して「宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」をすすめています。宇宙ベンチャー等の創出・誘致と県内企業の宇宙ビジネス新規参入を推進することが目的で、下記3つの柱を掲げています。
機運醸成
新規参入を促すイベントなどを開催。
・いばらきうちゅビジネスサミット
体制構築
プラットフォームや研究開発の支援体制構築。
・宇宙ビジネスに特化したワンストップ相談窓口の設置
・茨城県産業技術イノベーションセンターの機能強化
財政支援
宇宙ビジネス挑戦への補助金創設。
・JAXAや産総研等の試験設備利用料補助
・販路開拓補助
・衛星データを活用したソフトウェア開発費補助

■福井県

人口減少や県内の地場産業の活力向上の解決策として、超小型衛星の開発・打上げを目的とした「福井県民衛星プロジェクト」を実行しています。産業、地域振興と人材育成の体制を作ることで、製造の受注拡大、衛星データの利活用による産業拡大を目指している。将来的には、超小型衛星のビジネス拠点化やエアロスペースセンターを作るなど、福井県に新たな航空・宇宙産業クラスターを形成することを検討している。
産業、地域振興
・小型衛星の開発・打上げ、試験環境の整備
・ふくい宇宙産業創出研究会(福井の技術でなにができるか等を研究)
・衛星技術研究国愛(県民衛星プロジェクトの実働部隊として活動)
人材育成
・宇宙技術および科学の国際シンポジウムの開催

■山口県

JAXAの一部機能移転が決定されたことに伴い、JAXA、山口大学、山口県の3社で宇宙ビジネスに取り組み始めている。衛星データ解析技術研究会を設置し、衛星データの利活用により災害対応力の強化を図る「防災利活用」、リモセン技術を活用した「新事業創出」、宇宙教育の推進による「人材育成・国際連携」を柱として活動中。来年度は以下を予定している。
宇宙データ利用推進センターの設置
・技術アドバイザーの配置など技術的支援
・データ解析機器などの整備
宇宙データを活用したビジネスモデルの構築支援
事業かアイデア相談会などの開催
やまぐち産業イノベーション補助金
宇宙データを活用したソリューション開発費用の補助
衛星データ解析技術研究会の運営
行政データのオープン化

Tellus Xdata alliance 「AI活用ビジネスの現状とTellusへの期待」

株式会社Ridge-i 代表取締役社長 柳原 尚史氏が、AIとTellusを組み合わせた可能性について説明しました。現在すすめている事例をからめて、普及への課題と解決策についてご紹介します。

■AIと衛星データの活用事例

1:カラー化のディープラーニング
ディープラーニングによる自動彩色
2:ごみ焼却のセグメンテーション活用
運転員の目をディープラーニングにすることで、どこにどのごみがあるのか等を判別
3:衛星レーダー解析
分類困難な波とオイルを、数枚のSAR画像でAIに学習させオイル流出を検出
4:異常検知
何が正常なのかを教えて、正常なものには無い異常があるかどうかを判別する。
検品工程や、災害など政情から外れたものを捉えることができるかも。

■実際にどんな困難があるか

上記のようにAIと衛星データを組み合わせることで今までできなかったことが可能になる。しかし、下記のような課題により試しに使ってみることができにくいのが現在の衛星データ市場。
衛星によって何が映るかちがう
反射特性や放射特性によって、映る対象が複雑に異なるため、自分の見たいデータを取得するのが難しい
観測幅などの違い
観測幅、分解能、周期なども何が適正化が難しい
価格が試しにくい
高分解度の画像は高価で、実験的に使用するにはコストかかり過ぎる
計算負荷、ストレージも問題

■衛星データの課題を解決するTellus × AI

日本では、上記のように衛星データ活用市場が大きくなっていかない原因が多い。海外では、DigitalGlobe社とGoogle、Planet社とOrbital Insight社など、大手がプラットフォームの整備に取り組んでいるため、衛星データの取得や解析の分野でも海外と比べると差が出ている。これを日本の企業一社一社が打破していくよりは、強みを生かせる人たちが協力するための場として、Tellusに期待がかかっている。

ユーザー側としては、「欲しいデータがあればいい」ので、衛星に限らないデータや、時系列によるデータを加えて増やしていくのも重要。データが増えてくると、「定点」「組合せ」「時系列」といった視点で、様々なことができるようになってくる。組み合わせが増えると、解析が複雑になるのでAIのディープラーニングが力を発揮していく。今後は、衛星データの解析事例を積み上げ、テルースで発信していくことで、ユーザーニーズを喚起し、ニーズに即した衛星の打ち上げを進めていくことが重要。

農業分野における宇宙データ利用の展望

北海道大学大学院農学研究院 教授 野口伸氏が、農業分野における宇宙データ利用についての概要を話しました。農業では、労働力不足や生産者の高齢化などが課題になっています。内閣府SIP次世代農林水産業製造技術では、ロボット技術やICT、ゲノムなどの先端技術を活用して、「超省力・高生産のスマート農業」を実現しようとしています。

■農業データ連携基盤WAGRI

スマート農業を実現するためには、多くのデータを集めてくることが重要になります。しかし、現状は個々の事業者がそれぞれデータを提供しているため、収集が難しいことやコストも高いという課題があります。そうしたデータを「農業データ連携基盤WAGRI」を活用して、集約することで質の高いデータを農家に提供できるようにする。さらに、背景地図、土壌データ、育成予測システム、気象データなどを取り込み、色んなデータを重ね合わせて表示させることで作業適時などを管理し、的確な判断をすることができるとしている。

■農作業のロボット化

農業の自動化は下記の効果を期待されています。
・労働力不測の改善
・作業制度、効率の向上
・農業従事者の業務内容の転換

現在でも、自動走行農機は実現しており、2020年には、遠隔監視システムによる無人作業システムの実現を目指している。また、スマート農業には海外も注目おり、東南アジアへの国際展開も視野に入れている。

内閣府モデル実証事業 「衛星を利用した定置網漁業向け情報サービス」

日東製網株式会社 係長 細川 貴志氏が宇宙と関係ない事業が参入するモデルとして、漁業の現場にどう活用しようとしているかを説明しました。主に、漁業での宇宙利用としては下記を柱に考えています。
・海の情報を得る
・魚を見つける
・船を監視
・災害を予防する

漁業者のニーズにあわせたサービスを実用化させたいとし、具体的には、事業かに向け下記のようなサービスの実証実験をすすめています。
・定置網に魚がいるかを陸上で確認するサービス
・魚群来遊予測サービス
・網計上診断サービス

S-booster2018審査員特別賞

天地人 代表 繁田 亮氏が、S-booster2018審査員特別賞を受賞した「衛星データを活用した栽培適地選択と農地評価」について説明しました。衛星データによって地表の温度や地形が分かることを活用して、下記を見つけていくことができるというものでした。
・育てたい作物に最適な土地を見つける
・その土地に最適な作物を見つける

日本においては、土地をいかに効率的に活用するかが重要になっています。しかし、農業における課題は、国や企業ごとに違っているので、海外への展開も含めて、今後ビジネスとして進めていきたいとしています。

宇宙ビジネスに向けた共創活動について

JAXAがどう民間とビジネスを創っていこうとしているかについて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA) 新事業促進部 部長 岩本 裕之氏が説明しました。宇宙イノベーションパートナーシップ(Jspark)という、民間とJAXAが一緒になって新しいビジネスを作ることを目的としたプロジェクトにて進めていくとしています。
主な柱としては下記3つを軸にしています。
1:人類の活動領域を拡げるテーマ(軌道上サービス、月・惑星探査、遠隔存在技術)
2:宇宙を楽しむテーマ(宇宙旅行、コンテンツ・AR/VR、衣食住)
3:地上の社会課題を解決するテーマ(リモセン・通信・即位、ビッグデータAI/IoT、宇宙輸送

■民間事業創出にむけたJAXAの役割

民間との共同ので進めていく中でも、コンセプトを創ることや、実証といった事業化までの支援をメインにとらえています。JAXAは、持っている設備、データに加え、これまで培ってきた技術力、経験、多様な国内外ネットワークなどを総動員し、民間事業者と一緒に事業化に向けて取り組んでいくとしています。

まとめ

宇宙ビジネスは政府を主導に、民間や自治体の一部で確実に拡がってきています。しかし、宇宙産業の構造において、宇宙産業だけでは宇宙を利用するサービスが生まれにくいのが現状です。そのため宇宙産業に関わる事業者が、より一般の企業へ分かりやすく「宇宙ビジネスとは何か」を伝えていくことが重要となっています。農業や漁業のように、既存のビジネスのなかにある課題や悩みに、どう活用できるのかを柔軟に発想していくことで、いままでの常識を覆すサービスが実現していくと思います。Space Bizとしても、より一般の方に分かりやすく宇宙ビジネスをお伝えしていくことで、貢献していきたいと思います。

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