宇宙人とUFOシリーズ5 どのようにエイリアンは歴史に介入してきたか:古代文明とエイリアンの関わりの歴史

人類の起源として知られる古代文明の数々には、巨石や巨大建造物などの物理的な謎もあれば、ドラゴン神話をはじめとした伝承的な謎を含めて、いまだ解かれざるミステリーがたくさん存在します。
この「神話」に対する向き合い方は、デカルトによる「脱魔術化」に始まる近代の科学革命の中では「前近代的な夢想」として片づけられがちでしたが、フロイトによる無意識の発見を経て、ユングが元型論を用いて神話学を分析し、レヴィ・ストロースら構造主義の人類学者が「神話の構造」を提唱してからは、人間の潜在意識の内奥に眠る根源的表象を模ったものとして新たな視点で捉えられるようになり、神話学者ジョセフ・キャンベルの「千の顔をした英雄」を通して「スター・ウォーズ」の物語にも大きな影響を与えました。また、日本では南方熊楠が「燕石考」の中で、伝承や神話の中に人間の「粘菌的」・「曼荼羅的」な精神構造を研究しようとしたことが知られています。
このような先人たちの努力によって、私たちは以前よりも「神話」の奥深くを探求するツールを手に入れましたが、まだまだ解明されていない謎はたくさん存在します。

ドラゴンは「宇宙船」なのか?

神話における未解明の謎の1つが「ドラゴン」という神話現象です。
つい最近ではイーロン・マスクのSpaceXが2022年に打ち上げた宇宙船を「ドラゴン」と名付けて話題をさらいましたが、実際に世界の神話にみられるドラゴンと宇宙船は多くの共通点を持っています。
今では伝説上の生物として知られるドラゴンですが、ヨーロッパでは遅くとも16世紀まではその実在がある程度信憑性を持って受け止められていたことが知られています。1551年から1558年の間にスイスの著名な博物学者ゲスナーが刊行した『動物誌』に、タイプの異なる数種類のドラゴンが記録されていることからもわかるように、ドラゴンが「迷信」として神話の一環となったのはここ数百年の近代化の進展による世界観の更新の結果であると見ることができます。
「ドラゴン」に当たる神話的存在は、世界各地で普遍的に存在します。中国では龍、南米ではケツァルコアトルと呼ばれていますが、ヨーロッパからインドにかけての地域においては、例えば東ヨーロッパでは「ドラクル」、古代ギリシア語では「ドラコーン」、スワヒリ語では「ドラゴニ」といったように、皆「ドラゴン」に近い響きの言葉で呼ばれています。
このような「ドラゴン」という現象の共通点としては、「人を乗せて空中を素早いスピードで移動し」、「火をはき」、「高度な文化をもたらす」といった点があげられます。また、中には古代シュメールにおけるティアマトや、旧約聖書に登場する「リバイアサン」のように、水中航行が可能なタイプのドラゴンも存在します。このような描写から、「ドラゴンという存在は実際には地球外生命体が使用している水陸両用の乗り物であり、現在の地球人が目撃しているUAP現象に近いものなのではないか」と推測することができますね。
もちろん、古代の人々は様々な現象を象徴的に表現することに長けていたので、雷や大雨などの何らかの自然現象の比喩としてドラゴンを用いたという解釈も可能です。しかし、ルーツを共有しない言語体系の間での名前の類似性や、それが「高度な文明をもたらす」という要素を含んでいることなどを考えると、なんらかの知的生命体の介入を想起せざるを得ません。

南米に伝わる「スター・ピープル」の伝承

また、書物として記録されて分析の対象となっている神話の他に、南米を中心に口伝えで語り継がれた伝承の中にも地球外生命体と思しき存在の痕跡が見られます。代表的なのはアメリカ先住民で、ポーラ・アンダーウッドによる『一万年の旅路』によれば、イロコイ族などは中東あたりから約1万年かけてユーラシア大陸を横断し、ベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に住み着くその旅路の過程で、何百世代にも渡って一つの物語を口承で受け継いできたといいます。ちなみに旧約聖書などももとは口承によって人々の間で広く受け継がれていたものが徐々に文字の形で体系化されるようになったとのことで、口承神話をめぐる研究は資料が残っていないため研究もしづらいのですが、これからの神話研究においても未知の課題として残されています。
これらの南米に伝わる伝承に多く見られるのが、「スター・ピープル」についての言及です。彼らは文字通り空からやってきて、神のごとき力でもって人々に技術を授けたとされます。また、それは過去だけの話ではなく、現在においても常にスター・ピープルが彼らを見守り、必要とあればコミュニケーションができる、と一部のインディアンたちは主張しています。代表的なのは本シリーズ3回目の記事「なぜUFOは人を攫うのか:アブダクション現象の歴史」でもご紹介した、ネイティブ・アメリカンのスー族のメディスンマンであるブラック・エルクによる証言です。彼は好きな時にスター・ピープルにお願いして月にでもどこにでも空飛ぶ円盤で連れて行ってもらえるのだとインタビューアに対して告げました。南米にはこのような独特な異空間が広がっており、80年代以降にはマジックリアリズム小説として文学上の一大ブームをアメリカでも起こしましたが、近代的世界観にとってはあり得ないような現実の中を彼らは生きているのかもしれません。

世界各地で発見される「巨石」の謎

ドラゴンは伝承の一部ですが、古代文明にはもっとダイレクトで物理的な謎も存在します。その代表格が、イギリスのストーンヘンジやカルナックの列石群をはじめとするメガリス(巨石記念物)です。放射性炭素年代測定法による分析で、およそ紀元前4000年から3500年ごろに建造されたことがわかっているこれらの建造物は、当時はもちろん現代の技術を用いてすらも建設することが困難な構造をしており、まず第一にその目的が不透明です。
一般的にはこれらのメガリスが建造されたのは「宗教的な目的」であるとして片づけられますが、それは近代科学にとって説明不能な現象を全て「宗教」という便利な枠組みに入れて不問に付すという学術的怠慢以外の何物でもないでしょう。
一つの説得力ある説明としては、「これらのメガリス群は地球外生命体の乗り物のエネルギーチャージスポットであった」という説があります。地球の内部構造は現在もまだ謎が多いのですが、少なくとも内部のマントル対流による巨大な電磁気学的エネルギーが潜在していることは確かです。そこに特殊な結晶構造を持つ成分を十分に含んだ巨石を地中深く刺すことによって、その電磁的エネルギーをなんらかの形で地上に放出する技術があったとすれば、メガリス群がエネルギースポットになることはあり得ますし、過去にニコラ・テスラがその実験をして成功したと言われています。そして、現在では長い時間をかけたプレートの移動によってその機能を失い、ただの遺跡になっていることも納得できますね。
もちろん、これらの技術は再現実験に成功していないため、現時点で確かなことは言えません。科学者による真剣な解明を待ちたいところです。

やや飛躍のある「古代宇宙飛行士説」

さて、今までにご紹介してきた「ドラゴン」や「巨石」などの話題は、「古代宇宙飛行士説」の証拠として頻繁に提示されてきました。
古代宇宙飛行士説とは、「人類史上の古代または超古代に宇宙人が地球に飛来し、人間を創造し、超古代文明を授けた」とする仮説のことです。SF作家のエーリッヒ・フォン・デニケン氏やUFO研究者のジョルジョ・ツォカロス氏によって提唱されています。しかし、彼らの主張する「宇宙人が人類を創造した」とする説には、やや飛躍があると言わざるを得ません。
確かに神話の中では、宇宙船と思しきドラゴンから降り立った神々によって世界や人類が創造されたとするような記述が散見されますが、神話というのはあくまでも象徴が幾重にもおり重なったものであり、彼らが描写する創造行為を文字通りの「人類創造」として受け止めるのはやや飛躍があると言えます。
しかし、何らかの知的生命体が過去に古代文明に介入して、あたかも「渡来人」のように人類に技術を授けたとするその主張には、一定の信憑性があると考えて良いでしょう。

次回の記事では、宇宙人による哲学をテーマに、「エイリアンにとって宇宙とは何か」について考察していきます。お楽しみに!