宇宙人とUFOシリーズ4 どのようにエイリアンと対話するのか:コンタクティーによる証言の歴史
テレパシーによる会話
もし地球外生命体が存在したとしたら、彼らはどんな言葉をしゃべっているのでしょうか。
SFに限らず、言語学や人類学といった学問分野の中でも、様々な推測がなされてきました。2016年に公開された映画『メッセージ』では、独特な円形の記号の中に様々な象徴を詰め込んだ創作言語が登場していましたが、本作の中では「その人が用いる言語がその人の世界の認識に大きな影響を与える」というサピア・ウォーフの仮説が大きな役割を演じています。
しかし、多くのSF作品の中でみられる見解としては、「宇宙人はテレパシーを使う」というのが通説のようです。つまり、声帯の振動や黒いインクを用いて「言語」という媒体を介するまでもなく、ダイレクトに心から心へ意志を伝える、という伝達手段をとるというのです。
フランス国立科学研究センターの考古学現地調査研究員であり幼少期から地球外生命体とのコンタクトがあったと語るベストセラー作家エレナ・ダナーン氏によると、このような「テレパシー」による通信はあたかも「電話」をかけるような形で行われ、意志を伝えたい相手の姿を一定時間強く念じると、電話がつながったようにコミュニケーションが行えるようになるそうです。ちなみに、映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ(エピソード8)』の中では、主人公のレイと悪役のカイロ・レンがテレパシーで通信し合う様子が非常に印象的に描かれていましたが、本作での描写はダナーン氏のテレパシーの原理の記述と非常に似ています。ダナーン氏の著作には、これ以外にも地球外生命体が用いる「テレパシー」の様々な機能や様相が詳述されており、興味を惹きます。
初代コンタクティのジョージ・アダムスキーの毀誉褒貶
地球外生命体と物理的・精神的接触を行ったことのある人物は、一般的に「コンタクティ」と呼ばれます。
この「コンタクティ」という言葉を世界に知らしめた人物こそ、「初代コンタクティ」であるジョージ・アダムスキーです。アダムスキーは1952年にカリフォルニアの砂漠で金星人と物理的なコンタクトを行ったと主張し、同年には有名な「空飛ぶ円盤」の写真を撮影して世界的に有名になりました。その後さまざまな現場証拠によってその主張の真実性が疑われるようになり、UFO肯定派の中でも評価が分かれるアダムスキーですが、その世界観自体は深淵な「宇宙哲学」を含むものであり、19世紀終盤から20世紀初頭にかけて一斉を風靡した「神智学」の流れを20世紀中盤のアメリカで復興させたような意味合いもあったとされています。
アダムスキーを皮切りにして、「一般人でも宇宙人と実際にコンタクトを取れる」という認識が広まり、その後さまざまな人物が「コンタクティ」を自称して発信を行う流れが起きました。もちろん、大半を占めるのはどこかのSF小説のパクリのような非常に怪しげな情報なのですが、中には非常に高度なレベルの内容を含んでおり、「地球人が創作で考えたとはとても思えない」ような文献が存在します。
知る人ぞ知る「エイリアン・インタビュー」の衝撃
しかし、アダムスキーがUFOに遭遇したと主張する5年も前に、衝撃的なコンタクトが行われていたことが知られています。その証拠となる書籍がローレンス・スペンサーによる「エイリアン・インタビュー」です。この書籍は、米軍基地に勤務していたマチルダ・オードネル・マックエルロイ氏が、1947年の7月と8月の間に、ロズウェルに墜落した宇宙船の操縦士である地球外生命体にテレパシーによる通信を受け、インタビューを試みた文献が収められているとされています(刊行自体は2007年に、マックエルロイ氏から原稿を託されたローレンス・スペンサー氏の手によってなされました)。内容としては、地球外生命体の視点からみた地球人(本作の中では「イズビー(魂)」と呼ばれる)のあり方や、宇宙や地球の真実の歴史などがリアルに描かれており、そのスケール感やリアリティからしてとてもフィクションとは思えないという印象を受ける方が多いようです。
退行催眠を通じて明らかになる真実
アダムスキー氏やマックエルロイ氏のように「宇宙人と自ら物理的・精神的な接触をした人物が、その記憶を自ら覚えている範囲で語る」という方向とは別に、「退行催眠によって他人から引き出す」というアプローチも存在します。それは、「一般人を退行催眠させることで、UFOとの遭遇した時の記憶、あるいはその人物が宇宙人だった頃の前世や前前世の記憶を語らせる」という方法です。この方法は、「眠れる預言者」として知られるエドガー・ケイシーによって一般的に知られるようになりました。彼自身は起きている間は敬虔なキリスト教信者であり、「生まれ変わりや宇宙人の存在は認めない」というキリスト教の教義を信じていたのですが、自分が眠っている間に行ったリーディングの中では「人間は死んだら生まれ変わり、私たちの誰もが地球に生まれ出る直前、他の惑星にいた」という発言をしており、ケイシー自身が衝撃を受けたと言います。
ケイシーの死後も彼のアプローチは世界中に水面下で影響を与え、退行催眠によって宇宙時代の記憶を引き出すという方法が取られるようになりました。
その中でも非常に興味深い内容が書かれている文献が、催眠療法士であるドロレス・キャノンによる調査記録です。『人類の保護者』『入り組んだ宇宙』と題されたその著作の中では、ETおよびUFOとの遭遇体験者複数名にキャノン氏が退行催眠を施し、宇宙の隠された構造や人類の歴史についての驚くような内容が語られた記録が残されています。特にこの『入り組んだ宇宙』の中で語られる「パラレルワールド」の理論的説明については、超弦理論の研究で世界的に知られる理論物理学者のカク・ミチオ氏も絶賛しており、専門的見地から見ても非常に研究価値が高いものだと言えます。
数あるコンタクティ情報の中から、客観的真相を見極めるには
しかし実際には、世の中に氾濫しているコンタクティによる情報の中には、矛盾する要素が多数あり、統一的な見解を作ることが非常に難しい状態にあります。もちろん、中には虚実ない混ぜの情報を発信する「偽コンタクティ」による影響もかなりあるのですが、ある程度信頼のおける情報をコンスタントに発信しているコンタクティ同士を比較した場合でも、宇宙の基本的なあり方についての科学的情報や、これまでに宇宙の中で展開されてきた歴史についての記述などが矛盾する場合が多くあります。
このような場合、それらのコンタクティに情報を送っている地球外生命体自体が、自分に都合の良いように嘘をついている、ということも仮説としては考えられます。
一方で、「テレパシーを通じて心と心で会話を行う地球外生命体は、嘘をつくことができないはずだ」、という指摘も一部のコンタクティによってなされています。劉慈欣による大ヒットSF小説『三体』の第二弾である「黒暗森林」の中では、非常に技術の進んだ悪質エイリアンたちが、「嘘」という概念を知らないことによって地球人たちに盲点をつかれて撃退されるというシーンがありました。この視点からすると、思っていることとやっていることの間にここまで距離のある「人類」という存在は、宇宙人の目から見たら非常に奇妙なものに映るはずであり、嘘つきだらけの人類に照らして地球外生命体の言動をジャッジするのは間違っているのかもしれません。
コンタクティ情報間の矛盾に関するこの問題の真相は不透明なままですが、一つの仮説としては、私たち人類が思っている以上に、宇宙の姿は多様であり、私たちよりはるかに進んだ科学技術を持つ地球外生命体の間でも、「宇宙とは何か」という問いや、「宇宙の歴史」に対する統一見解は存在していないのではないか、と考えられます。それぞれの種族がそれぞれの捉え方によって宇宙とその歴史のあり方を捉えており、それを全て包含した視点を持つことは地球外生命体にとっても難しいのではないでしょうか。
次回の記事では、古代文明とエイリアンの関わりの歴史をテーマに、「どのようにエイリアンは歴史に介入してきたか」について考察していきます。お楽しみに!